「名画と解剖学 『マダムX』にはなぜ鎖骨がないのか?」原島 広至
2019/04/17公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(79点)
要約と感想レビュー
■解剖学の知識がある人が
絵画を解説するという一冊です。
解剖学の知識があると、
この女性は病気だったのではないか、
この頭蓋骨のモデルは子どものものだ、
などと分かるのです。
写実的で解剖学的にも
精密に書かれてある絵画が
多いのですね。
・十字頭蓋(とうがい)とは、前頭縫合が残る成人の頭蓋骨のこと・・・十字頭蓋の成人はヨーロッパ人では約9%、アジア人では約5%なのでヨーロッパ人の方が十字頭蓋の比率が大きい(p45)
■解剖学だけにとどまらず
豆知識・トリビアが
数多く含まれています。
トランプのマークの元は
剣、棒、カップ、コインだった。
アルプス越えのベルナール峠は、
英語読みでセント・バーナード。
歯がなくなると、
顎の骨が減ってしまう。
面白いですね。
・(17世紀)当時のスペインのトランプでは、マークはスペード、クローバー、ハート、ダイヤではなく、刀剣、棍棒、聖杯、貨幣だった(p55)
■絵画はただ見るのもいいのですが、
ある程度の基礎知識があると
さらに面白いのだと思いました。
絵画の解説本をもっと
買ってみます。
原島さん、
良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・顎の骨から歯が喪失すると、上顎骨、下顎骨に骨吸収が起こり、顎骨は高さが1/2から1/3に減ってしまう(p57)
・成人男性で薬指が長い人の割合は約70~80%、成人女性は約60%と異なる・・・ちなみに、チンパンジーなどの類人猿はオスメス関わりなく薬指が長い(男性は類人猿に近い?)(p91)
・プロメテウスは、毎日ワシに肝臓を食われるが、翌日には再生している・・・肝臓の再生能力の高さを古代ギリシャ人が知っていたということに驚かされる(p108)
・ベルナール峠からアルプスを越えるボナパルト・・ベルナール峠(グラン・サン・ベルナール峠)は、アルプス山脈の門グランの東に位置する・・・西暦800年には、カール大帝(シャルルマーニュ)が戴冠式の帰りにこのベルナール峠を通過している・・・ちなみに、サン・ベルナールを英語読むにすれば、セント・バーナードになる(p137)
・レンブラントの後半生は経済的に苦境に立たされ破産するも、生涯作品を残し続けた(p71)
・アッシリアは古代世界における軍事強国で、その戦い方は冷酷さと残忍さで知られ、周辺諸国を恐怖に陥れた・・(p95)
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【私の評価】★★★☆☆(79点)
目次
Part 1 顔・頚部
Part 2 頭蓋骨・脳
Part 3 胸部
Part 4 手・腕
Part 5 背部・腹部
Part 6 脚・腰部
Part 7 動物