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【書評】「コンクリートが危ない」小林 一輔

2019/02/21公開 更新
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コンクリートが危ない (岩波新書)


【私の評価】★★☆☆☆(67点)


要約と感想レビュー


アルカリシリカ反応(ASR)

内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の講演会に参加しました。金沢大学の鳥居教授によると北陸・東北地方のコンクリートにおいて、今まで凍害、塩害と言われていたものは、実はアルカリシリカ反応(ASR)が原因となっているものが多いとのこと。


アルカリシリカ反応(ASR)とはコンクリートのガンと言われ、骨材として含まれる岩石がコンクリート内のアルカリと反応して膨張、ひび割れが発生するものです。


1980年代にコンクリートに洗浄されない海砂が使われアルカリシリカ反応(ASR)を誘発し、短期間にひび割れ、大問題になったことがありました。アルカリ総量規制や骨材を制限するなど対策は取られてきたはずなのにどうしてこんなことになっているのか。ということで当時の書籍を購入しました。


アルカリの総量規制による防止策は、わが国においても採用されている。 なぜ、海砂の使用がアルカリ骨材反応と関わってくるのであろうか?それは、海砂中の塩分がコンクリート中でアルカリをつくりだすからである(p80)

凍害・塩害と思われていたアルカリ骨材反応

鳥居教授の話では、砂とのアルカリ骨材反応により微小な亀裂ができ、そこに水が進入して凍害となる。または、亀裂から融雪剤の塩分が進入してアルカリ骨材反応を加速させ、鉄筋を腐食させるというのです。


アルカリ量と骨材の制限によりアルカリ骨材反応が生じる可能性はほとんどないと考えられていましたが、実際には凍害、塩害の影に隠れてアルカリ骨材反応が起きているのです。


通常のセメントに含まれているアルカリ量は0.6%前後であって、このていどのアルカリを含むセメントによって、アルカリ骨材反応が生じる可能性はほとんどない(p78)

フライアッシュと置き換える

鳥居教授によるとアルカリシリカ反応(ASR)は、セメントの20%をフライアッシュ(火力発電所で石炭を燃焼させた後に発生する石炭灰。微細な球状。)と置き換えるだけでほとんど予防できるという。そして、欧米ではアルカリシリカ反応(ASR)防止のためにフライアッシュをコンクリートに混ぜることは常識なのです。


海外と日本でフライアッシュの利用に差があるのは不思議なことですね。今後も調査していきたいと思います。


小林さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・第一段階の長さで新たに明らかになったのは、骨材としてアルカリ反応性の岩石が含まれていたことである。それは、火山ガラスを含む安山岩と、微小石英を含む砂岩および粘板岩(p15)


・アルカリ骨材反応による劣化の兆候が出はじめるのは、一般に建設後約10年であるが、阪神高速道路の高架橋の場合には、コンクリート施行後四年後に異常なひび割れが発見され、フランスのダムの例では建設後、40年も経ってからアルカリ骨材反応によるひび割れが発生している(p90)


・1995年1月の阪神大震災では、高度成長期に建設された多くのコンクリート構造物が破壊された。これらの構造物のコンクリート破片を観察すると、不思議なことに、砕石粒や砂利など大粒の骨材がひじょうに少ないことに気がついた。コンクリート全堆積の約40%は、砕石や砂利などの大粒の骨材で占められているはずである・・どこに消えてしまったのか?(p147)


コンクリートが危ない (岩波新書)
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小林 一輔
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【私の評価】★★☆☆☆(67点)


目次


1 コンクリート構造物に異変
2 コンクリート構造物の寿命
3 腐食する山陽新幹線高架橋
4 コンクリートのがん
5 コンクリートが分解する
6 明るみになった手抜き工事
7 高度成長の負の遺産
8 良質な遺産を残すために
付 分譲マンションへの対策



著者経歴


小林一輔[コバヤシカズスケ]・・・1929年、東京都生まれ。1954年、東京大学工学部土木工学科卒業。運輸省運輸技術研究所、東京大学生産技術研究所教授を経て、現在、千葉工業大学教授、東京大学名誉教授。専攻、コンクリート工学


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