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「日本外交の挑戦」田中 均

2018/08/19公開 更新
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日本外交の挑戦 (角川新書)


【私の評価】★★☆☆☆(61点)


要約と感想レビュー

官僚としては失格

北朝鮮から拉致被害者が帰国した時、「日本に残りたい」という拉致被害者に対し、北朝鮮との約束どおり北朝鮮に帰るべきと主張したとして有名な元外務省の田中均さんです。安倍首相は、田中均局長が、一部の記録を残していないこと。北朝鮮の要求どおりを主張したことを批判しています。


田中局長は、北朝鮮に戻らなければ子どもたちに危害が加わるかもしれない、子どもたちを帰すのが時間がかかるかもしれない、と主張したのです。これは政治的判断であり、外務省局長として意見を言うことは問題ないのではないかと思います。ただ、一部の記録があるのか、ないのか、意見に差があるのは不思議なことであり、政治家にそうした疑念を持たれること自体、官僚としては失格なのかもしれません。


官僚としては失格

著者が批判される理由を本書の中からいくつか考えてみました。


まず、全体的な傾向として中国、韓国と経済連携せざるをえない・・・拉致被害者を約束どおり北朝鮮に戻さなければいけない・・と相手国が言いたい脅しを代弁しているように見えること。また、共産・左翼勢力と同じように反中、反韓はナショナリズム、右傾化、ヘイトスピーチと、いつもの型通りの批判をしているところ。


安倍首相から批判されるお返しなのか、イスラム国に日本人が拘束されたときにイスラム国と戦う周辺各国に2億ドルの支援を表明し、日本人の命にリスクがあったことを批判しています。脅しには屈しないではなく、屈することを身上としているように見えます。


書籍の内容としては、当たり前のことを羅列しているもので、特に目新しいものがありませんでした。書きたくても書けないのだと思いますが、今後に期待しましょう。


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この本で私が共感した名言

・現在、中国習近平政権にとって対外政策のプライオリティの第一は米国との大国関係を作ることであり、このような観点からみれば日米同盟に楔を打ち込む、とりわけ日本を周縁化することが中国の基本的な外交姿勢になっているように見える。歴史認識問題は米国の同調も得て、日本を批判できる材料となりうると考えているのではなかろうか(p36)


・経済成長が鈍化し、国内の統治の混乱が出てくれば、中国政府が国内的求心力を高めるために対外的には強固な政策を導入していく傾向も出てくるのであろう(p65)


・日本は周りの国の実需を活用していかざるを得ない。人や物の移動を活性化し、周りの国々との一層の経済連携を図れるかどうか・・・日本の国内で強くなっている反中、反韓のナショナリズムを超えて進んでいけるのかどうかが問われている(p83)


日本外交の挑戦 (角川新書)
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田中 均
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【私の評価】★★☆☆☆(61点)


目次

第1章 構造変化
第2章 地政学リスク
第3章 アイデンティティ
第4章 戦略
第5章 外交基盤



著者経歴

田中 均(たなか ひとし)・・・京都市生まれ。(株)日本総研国際戦略研究所理事長、(公財)日本国際交流センターシニア・フェロー。1969年京都大学法学部卒業。外務省に入省後、1972年にオックスフォード大学修士課程(哲学・政治・経済)修了。北米局北米第二課長、アジア局北東アジア課長、在英大使館公使、総合外交政策局総務課長、北米局審議官、在サンフランシスコ総領事、経済局長、アジア大洋州局長を経て、2002年より外務審議官(政務担当)を務め、2005年退官。東京大学公共政策大学院客員教授(2006-2018年)。


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