「国家〈上〉」プラトン

|

国家〈上〉 (岩波文庫)

【私の評価】★★★☆☆(70点)


■スパルタ人が裸で戦っている時代に、
 国家とはどうあるべきか、
 あるべき国家はどのようなものか
 ソクラテスが議論しているものです。


 当時は、悪い人が偉くなるというような
 状況だったためか、
 正義とはなにか、悪とはなにか、
 という議論から入っていきます。


 見かけは正義で、腹黒い人が強いのですが、
 そうした国家は一部の人だけが利益を得て、
 国家全体の利益にならないとしています。


・不正な人間でありながら正義の評判を確保してしまえば、
 至福の生活が得られるということだ。それならば、
 賢者たちが教えてくれるように、"みかけ
 (思われること)は真実にも打ち勝つ"以上、
 そしてこの<みかけ>こそは幸福の決め手と
 なるものである以上、そのほうへと
 全力を振り向けなければならない(p121)


■したがって、国家全体の利益を考える
 政治家が国家のトップとなるのが
 理想の国家となります。


 どうすればそうした国家を作ることが
 できるのか、そこまでは「上」では
 議論されていませんでした。


 もう少し「国家」を読んでみます。


 ソクラテスさん、
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・君が<友>と言っているのは、
 各人に善い人だと思われている者のことだろうか、
 それとも、たとえそう思われてなくても、
 実際に善い人間である者のことだろうか(p上36)


・もし<正義>とは何かをほんとうに知りたいのなら、
 質問するほうにばかりまわって、
 人が答えたことをひっくり返しては
 得意になるというようなことは、
 やめるがいい。答えるよりも
 問うほうがやさしいことは、
 百も承知のくせに!(p44)


・支配階級とは、権力のある強い者のことだ。
 したがって、正しく推論するならば、
 強い者の利益になることこそが、
 いずこにおいても同じように
 <正しいこと>なのだ、という結論になる(p51)


・お人好しの本尊のソクラテスよ、
 正しい人間はいつの場合にも不正な人間に
 ひけをとるものだということを、
 次のようなことから考えてみるがよい。
 まず、第一に、正しい人間と不正な人間とが
 互いに契約して、共同で何かの事業をするとしたら・・
 正しい人のほうが、きまって損をするのだ(p65)


・不正がひとたび充分な仕方で実現するときは、
 それは正義よりも強力で、自由で、権勢を
 もつものなのだ・・<正しいこと>とは、
 強い者の利益になることほかならず・・(p上67)


・自分自身の子供として銅や鉄の混ぜ与えられた者が
 生まれたならば、いささかも不憫に思うことなく、
 その生まれつきに適した地位を与えて、これを
 職人や農夫たちのなかえ追いやらなければならぬ。
 またもし逆に職人や農夫たちから、金あるいは銀の
 混ぜ与えられた子供が生まれたならば、
 これを尊重して昇進させ、それぞれを
 守護者と補助者の地位につけなければならぬ(p253)


・われわれが国家を建設するにあたって
 目標としているのは・・・一つの階層だけが
 特別に幸福になるように、ということではなく、
 国家の全体ができるだけ幸福になるように、
 ということなのだ(p261)


・相手の二つの国のうちの一方に使節を送って、
 事実ありのままのことを語るとしたらどうだろう
 『われわれには金や銀は不用だし、
 その所有を許されてもいないが、
 君たちは許されている。それで、
 われわれと同盟して戦って、
 もう一歩の国の人たちの財貨を
 手に入れてはどうか』(p268)


・国家において支配の任にある人たちに対して、
 君は、訴訟を裁く役目を課するのではないかね?・・
 その場合、彼らが裁きを行うにあたって目指すことは、
 ほかでもない、各人が他人のものに手を出さず、
 また自分のものを奪われることもないように、
 ということではないだろうか?(p300)


・気概があるという評判の・・トラキアの人たちや
 スキュティアの人たちや一般に北部の地域の人々は
 そういう評判を得ているが・・
 金銭欲の場合も同様であり、
 これはフェニキア人たちやエジプトの人たちが
 少なからずそうだと言われるだろうが(p306)


・最初クレタ人が、ついでスパルタ人が
 裸で体育をはじめたときは、当時のみやびやかな
 連中はすべてそうしたことを
 物笑いの種とすることができた・・・
 人々が実際にやってみるうちに、
 着物を脱いで裸になるほうが、
 すべてそうしたことを包みかくすよりも
 よいとわかってからは、
 見た目のおかしさということもまた、
 理が最善と告げるものの前に
 消えうせてしまったのだ(p347)


この記事が参考になったと思った方は、
クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓ 
blogranking.png


人気ブログランキングへ


国家〈上〉 (岩波文庫)
プラトン
岩波書店
売り上げランキング: 22,959

【私の評価】★★★☆☆(70点)



■目次

I 「前奏曲」――〈正義〉についてのいくつかの見解の検討.(第一巻)
導入部.(一章 327A ~328B)
1 ケパロスとの老年についての対話――〈正義〉とは何かという問題へ.(二章-五章 328B~331D)
2 ポレマルコスとの対話――〈正義〉とはそれそれの相手に本来ふさわしいものを返し与えることであるという,詩人シモニデスの見解の検討.(六章~九章 331E~336A)
3 トラシュマコスとの対話(十章~二四章 336B~354C)
(1) 〈正義〉とは強者(支配階級)の利益になることであるという,トラシュマコスの見解の検討
(2) 〈不正〉は〈正義〉よりも有利(得になること)であるか.

II 〈正義〉の定義――国家と個人における――.(第二巻-第四巻)
1 グラウコンとアディマントスによる問題の根本的な再提起.(第二巻一章~九章 357A~367E)
2 〈国家〉に関する考察――「最も必要なものだけの国家」と「贅沢国家」.国の守護者の持つべき自然的素質.(第二巻十章-十六章 367E~376E)
3 国の守護者の教育.(第二巻十七章-第三巻十八章 376E~412B)
(1) 音楽・文芸.
(a)何を語るべきか――文学(詩)における話の内容についての規範
(b)いかに語るべきか――単純な叙述(報告形式)と〈真似〉による叙述(劇形式).
(c)歌,曲調,リズム.
(d)音楽・文芸による教育の目的.
(2) 体育(および医術)のあり方.
4 国の守護者についての諸条件.(第三巻十九章-第四巻五章 412B~427C)
(1)守護者の選抜.建国の神話.
(2)守護者の生活条件,私有財産の禁止.
(3)守護者の任務.
5 国家の〈知恵〉〈勇気〉〈節制〉そして〈正義〉の定義.(第四巻六章-十章 427D~434C)
6 魂の機能の三区分.(第四巻十一章~十五章 434C ~441C)
7 個人の〈知恵〉〈勇気〉〈節制〉そして〈正義〉の定義.国家と個人の悪徳の問題へ.(第四巻 十六章-十九章)

III 理想国家のあり方と条件,とくに哲学の役割について.(第五巻-第七巻)
A 三つのパラドクス(「大浪」).
導入部.(第五章一章-二章 449A~451C)
1 第一の「大浪」――男女両性における同一の職務と同一の教育.(第五巻三章-六章 451C~457B)
2 第二の「大浪」――妻女と子どもの共有.戦争に関すること.(第五巻七章-十六章 457B~471C)
3 第3の「大浪」――哲学者が国家を統治すべき事.(第五巻十七章-十八章 471C~474C)
B 〈哲学者〉の定義と〈哲学〉のための弁明
1 〈哲学者〉とは? ――イデア論にもとづくその規定.(第五巻十九章~二十二章 474C~480A)



にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ第3位
にほんブログ村



この続きは無料メールマガジン 「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』:1ヶ月30冊を超える情報をe-Mailで」でお読みいただけます。

無料メルマガ購読

>月別(2002年7月~)