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「ねえ君、不思議だと思いませんか?」池内了

2018/03/17公開 更新
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【私の評価】★★☆☆☆(68点)


要約と感想レビュー

宇宙物理学の先生ということで、科学的な話が聞けるのかと思って読んでみましたが、まったく科学的ではない話でがっかりしました。


著者が書いているように科学者の世界は厳しい競争社会であり、学者として大成しないことがわかると、学問以外のところに生き甲斐を見出したくなるのでしょう。具体的には、企業から奨学寄附金と称する寄付金をもらって企業の肩を持ったり、国の審議会委員などを依頼されると小躍りして引き受けて御用学者になったりするらしいのですが、著者は脱原発、反安部政治、反自衛隊の御用学者となったようです。


もちろん主張が合理的なものであれば参考となるのでしょうが、批判するだけで対案がないところが非合理的で理系とは思えません。例えば、暗殺された安部首相がオリンピックを名目にして公共事業を拡大し、アベノミクスと称する経済政策は破綻し、原発再稼働を強行し、脱原発の声は無視するのではないかと感覚的な批判が続くのです。


特に自衛隊をはじめとする軍事に金を使うことが嫌いのようで、脱原発は遠のき、増税ばかりで社会保障は低下し、公共事業で国の借金は増え続け、インフレによって物価は上昇しても給料は上がらず、憲法が改正されて軍事化が復活する悪夢という表現を使っています。特に、集団的自衛権の行使や国防軍の設置・緊急事態法の実施など国家の安全のための対策は絶対反対なのです。


私は反対でもよいと思いますが、そこの対案がないことが失望するのです。今のままでよいと考えいるのかもしれませんが、特定秘密保護法と批判し、武器輸出三原則を武器輸出を可能とする防衛装備移転三原則へと変更したことを、集団的自衛権の行使で他国に侵略できることと一方的に批判するのは論理的ではないでしょう。それぞれの一長一短があり、それらを総合評価して分析するのが理系のよいところではないかと思うのです。


こういう人が学者は軍事を研究してはならないと主張しているのだなと思いました。池内さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・私は国家に「秘密法」はあってはならないと考えている・・・自衛隊のカラ発注やムダ遣いが新聞を振るわしているが、これらはやがて「特定秘密保護法」によって防衛秘密にされて捜査の対象から外され、一切報道がなされなくなる可能性がある(p163)


・原子力分野ではまだ安全保障条項が発動されていないが、やがてこれを口実として原発事故の隠ぺい、さらに核兵器の開発に進むのではないか(p177)


・ドローンという怪物・・私たち自身が無線操縦・完全監視されてしまうような世の中になっていいのだろうか(p184)


▼引用は下記の書籍からです。


【私の評価】★★☆☆☆(68点)


目次

I 現代科学の見方・読み方
II 時のおもり
III 科学の今を考える



著者経歴

池内了(いけうち さとる)・・・1944年、兵庫県生まれ。宇宙物理学、科学・技術・社会論。総合研究大学院大学名誉教授、名古屋大学名誉教授。著書に『科学者と戦争』(岩波書店)、『科学・技術と現代社会』(みすず書房)、『生きのびるための科学』(晶文社)、『現代科学の歩き方』(河出書房新社)他多数。


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