「中国は腹の底で日本をどう思っているのか」富坂 聰
2018/01/27公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★☆☆☆(66点)
要約と感想レビュー
中国、朝鮮、日本の関係について説明した一冊です。アジアの中で反日なのは中国と朝鮮だけです。いかにこれらの国と外交していくのか、日本にとって悩ましいものだと思います。まずやることは、現実を把握することでしょう。相手は何を意図してどう動いているのか。敵はどこにいて味方はどこにいるのでしょうか。
中国の「抗日戦争勝利70周年」記念行事を見ていると、中国はファシズムと日本を結びつけようとしていることがわかります。また、2005年の日本の首相による靖国神社公式参拝をめぐる議論の中で、中韓は同調しているようにも見えるのです。この本の中で、最悪の事態として想定しているのが、朝鮮半島に核保有国が生まれることです。日本と中国の間に、核兵器を持ち、韓国並みの経済力を持った国ができるのです。
特に北朝鮮については、核武装を完了し、すでに相手に攻撃を思いとどまらせるだけの抑止力を手に入れたと著者は見ています。北朝鮮が中国の敵と同盟関係を築く可能性もあり、中国は北朝鮮の核武装を注視しているという。
・中国は獲得した経済力に見合った扱いとポジションを国際社会で求めるようになり、日本側はそれを無原則な拡大だと警戒した(p88)
なお、ロシアについてはクリミア半島をロシアに編入したことで、アメリカが何もできなかったことを重要な点としています。アメリカの一極支配が終わったということです。ロシアは原油価格急落を「アメリカとサウジアラビアが結託してロシアを財政破綻に追い詰めようとしている」と説明していますが、著者はサウジアラビアが、アメリカのシェールガス戦略を潰そうとしたと見ています。
ロシア、イランの国家財政は原油価格によって大きな影響を受けます。そうした国際情勢を教えてくれる一冊でした。富坂さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・従来300kmに制限されていた韓国軍のミサイルの射程を800kmまで延長することで米軍と韓国軍が合意した・・中国国防大学戦略研究所の・・金所長はミサイル射程延長には、「暗に剣を日本に突きつける」という意味が含まれているとはっきりと指摘している(p210)
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【私の評価】★★☆☆☆(66点)
目次
第1章 「イスラム国」を介して中国の視点を学ぶ
第2章 なぜ日中関係の改善へと舵を切ったのか
第3章 「脱露入米」の裏にある真意を読み解く
第4章 日本人が知らない「中朝関係」のリアル
第5章 日本の北朝鮮外交がうまくいかない理由
終章 「価値観」ではなく「利害」に目を向けよ
著者経歴
富坂聰(とみさか さとし)・・・1964年愛知県生まれ。北京大学中文系に留学したのち、週刊誌記者などを経てフリージャーナリストに。94年『「龍の伝人」たち』(小学館)で21世紀国際ノンフィクション大賞(現・小学館ノンフィクション大賞)優秀賞を受賞。新聞・雑誌への執筆、テレビコメンテーターとしても活躍。2014年4月より、拓殖大学海外事情研究所教授に就任
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