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「「西洋」の終わり 世界の繁栄を取り戻すために」ビル・エモット

2017/12/31公開 更新
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「西洋」の終わり 世界の繁栄を取り戻すために


【私の評価】★★☆☆☆(65点)


要約と感想レビュー

 現在の国際社会の状況をまとめた一冊です。つまり、中国が南シナ海を支配する。ロシアがクリミアを占領する。世界は戦争に満ちているのです。EUはイギリスの離脱や、ギリシャの財政破綻といった矛盾で崩壊しようとしています。


 つまり自由主義・資本主義社会と独裁・中央集権の国家が対立し、自由主義も矛盾が出てきた中で、独裁・中央集権国家に立ち向かえるのか、という問題です。開かれた自由主義社会は、ここ数百年の中で戦いによって得られたものであり、絶対的なものとは言えないのです。


・この10年間中露の指導者たちは独自ルールを国際的に使用し、領土問題で自国の主張を押しつけることを決断した。ロシアはウクライナの一部を併合し、中国は南シナ海を占領した(p23)


 この自由主義、資本主義は生き残ることができるのか、著者もわからないのです。今、自由主義国の団結が求められているのです。


 エモットさん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・欧州や北欧では社会福祉の充実が重視され、日本やイタリアでは雇用の安定がもっと重視され、アメリカでは地理的移動と社会移動のしやすさが重視される(p35)


・ドイツの富の不平等は、ユーロ圏の他の国々よりもはるかに大きい。トップ10%が国富の三分の二以上を所有し、ボトム40%がなにも所有していない(p73)


・300年以上も事実上の首都としてきたロンドンの政府の決定をスコットランド人が恨んでいるほどなのだから、ハンガリー人やデンマーク人やフランス人が、EUの決定は自分たちの利益に反しているとか、利益をないがしろにしていると思っても不思議はない(p198)


・2016年末、日銀は国債発行額の三分の一以上を保有したまま新発国債の70%を買い取った。つまり、日本政府はいまもGDPの6%という巨額の赤字を出しているにもかかわらず、民間セクターにある政府債務の合計は、大幅に 毎年約15%ポイントずつ減少している(p208)


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「西洋」の終わり 世界の繁栄を取り戻すために
「西洋」の終わり 世界の繁栄を取り戻すために
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ビル・エモット
日本経済新聞出版社
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【私の評価】★★☆☆☆(65点)



目次

序 西洋という理念
第1章 戦いを開始しろ
第2章 不平等と公平性
第3章 民主主義と自縄自縛
第4章 アメリカを正道に戻す
第5章 イギリス、彼らのイギリス
第6章 欧州の麻痺
第7章 日本という謎
第8章 スウェーデンとスイスのフーディーニ
第9章 シルバーヘアとスマート・ドローン
第10章 野蛮な来訪者
第11章 西洋の運命


著者経歴

 ビル・エモット・・・国際ジャーナリスト。知日派、アジア通として名高い。1956年イギリス生まれ。80年からエコノミスト誌に勤務し、ブリュッセル特派員を経て、83年に東京支局長として来日。86年に帰国し、93年に同誌編集長就任。13年間の在任中、同誌の発行部数を50万部から110万部に倍増させ、数多のジャーナリズム賞を受賞。90年には日本のバブル崩壊を予測した『日はまた沈む』を発表し、ベストセラーに。2006年には日本の経済復活を宣言した『日はまた昇る』を、2008年に日中印の覇権争いを描いた『アジア三国志』を発表し、話題を呼んだ。現在は国際ジャーナリストとして政治経済、世界情勢をめぐる著書や記事の執筆を行ない日経ビジネスやFTに定期的に寄稿するほか、自身が設立したNPO「The Wake Up Foundation」の理事長を務める。2016年に旭日中綬章を受章。


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