「続 まんが パレスチナ問題 「アラブの春」と「イスラム国」」山井 教雄
2017/11/15公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(88点)
要約と感想レビュー
国民を一つにまとめようと戦争をする
イスラエルにあるパレスチナのガザ地区の問題から、「アラブの春」と「イスラム国」まで解説する一冊です。前作から10年経ち、新たな混迷、イスラム国についても説明しています。マンガとネコの解説で非常にわかりやすい。
中東で紛争がなくならないのは、敵を作って戦争をして、国民を一つにまとめようと政治家がするとしています。イスラエルでも戦争をすると政府の支持率が上がるのです。国民は、いつの時代でも、とても好戦的なものだとしています。
「シリアではあんまり石油が出ない」から、介入しても経済的見返りが望めない・・シリアは中東の要の位置になるから、欧米が下手に介入すると中東がメチャクチャになって収集が付かなくなる(p105)
パレスチナ問題
パレスチナ問題といえば、村上春樹氏が、イスラエルの文学賞の授賞式で「もし固く高い壁と、それにぶつかって割れる卵があったら、私は卵の立場に立つ」と発言したことがありました。固く高い壁が、イスラエルが設置したガザの分離壁であることは明白でしょう。私を含めていかに日本人が、イスラエルとパレスチナの問題を知らないし、マスコミも報道しないということなのでしょう。
パレスチナ側の過激派ハマスは、イスラエルにロケット弾を無差別に撃っています。それに対しイスラエルは武力で反撃しているのです。2010年には、ガザに向かったトルコから6隻の支援船が公海上で、イスラエル軍に拿捕されトルコ人ボランティアが9人殺されているのです。
ガザは分離壁に完全に囲われ、「天井のない刑務所」って呼ばれてるんだ(p20)
中東は「憎しみと悲しみの大地」
中東とはまさに「憎しみと悲しみの大地」だと思いました。しかし、ちょっとしたきっかけでアジアでも同じことが起こりかねないのです。そのために武器を手に取ってはいけないという結論に同意はできませんが、考えておくべき点だと思いました。山井さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・ぼく達の国では「安全」と「平和」は武力で守られている・・警察、軍隊、壁、迎撃ミサイル網、空爆の脅し、核兵器の抑止力・・なんかで守られている(p142)
・日本人には、あの安全と平和は奇跡に近いもので、決して当たり前のモノじゃない、一度失われたら二度と手に入らないモノだって心に刻んでほしんんだ(p143)
講談社
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【私の評価】★★★★☆(88点)
目次
プロローグ 10年後の再会
ガザ返還とハマスの勝利
イスラエルのガザ侵攻とヒズボラとの戦い
イスラエル、ガザ侵攻再び
オバマ登場
アフガニスタン戦争
イラク戦争
アラブの春
「イスラム国(IS)」
再びパレスチナ
エピローグ ニッシムの旅行
著者経歴
山井教雄(やまのい のりお)・・・1947年東京生まれ。東京外国語大学スペイン語科卒業。マッキャンエリクソン博報堂入社。テレビCFを企画・制作。77年同社退社後渡仏。映画、語学教材の教育ビデオを制作。またフランス国立東洋言語文化研究所で日本語科講師をつとめる。91年漫画集『ブーイング!』(朝日新聞社)で文春漫画賞受賞。2000年フランス・ルーアン市における国際政治漫画フェスティバルでグランプリ受賞。2003~06年、ダボス会議メンバー。06年から国連NGO・Cartooning for Peaceの活動に参加
パレスチナ関連書籍
「イスラエル 人類史上最もやっかいな問題」ダニエル・ソカッチ
「続 まんが パレスチナ問題 「アラブの春」と「イスラム国」」山井 教雄
「イスラエル ユダヤパワーの源泉」三井 美奈
「イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策」ジョン・J・ミアシャイマー
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