「富の未来 上巻・下巻」A. トフラー H. トフラー
2017/07/29公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(71点)
■2006年ですから
10年前に書かれた一冊です。
当時は石油価格が高騰し、
中国の経済発展が
注目されていました。
時代とともに富の形は変わり、
富を持つ人も変わっていくのです。
・経済力の通信がまずは
中国から西ヨーロッパに移動し、
つぎにアメリカに移動し、
いまは歴史の大きな円運動が完成して、
数世紀ぶりにアジアに戻ろうとしている(p134)
■驚くべきことは
石油価格暴落の可能性、
戦争・テロによる難民の多量発生を
予言しています。
歴史の流れを考えれば
分かることなのかもしれませんが、
洞察力があるのですね。
トフラーさん、
良い本をありがとうございました。
───────────────
■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・問題は富を誰がもち、
誰がもっていないかであり、
どのような目的に使われるかである(p48)
・世界のどの国でも、階層型の官僚組織が
政府の日常業務を担っており、
批判をうまくそらし、ひとつの変化を
数十年も遅らせる術を心得ている(p82)
・グローバル化に反対して終わりのない
運動を続けてきた団体は・・
世界の指導者が集まる国際会議が
開かれるとデモ隊に取り巻かれるので、
国際会議が辺鄙な保養地で開かれ、
治安部隊が厳重に警備するようになった(p169)
・原油価格が過去最高に達したいま、
産油国が打撃を受けるとは
考えにくいかもしれない。
だが、考えにくいことが起こるのが
世の中の常だ。
アメリカで景気が冷え込むか、
中国で恐慌が起これば・・
原油価格がふたたび急落することに
なりかねない(p174)
・戦争とそれに密接に関連するテロが、
「グローバル化の逆転」をもたらす
明らかな要因になる・・・
資本逃避のきっかけになりうるし、
国境を越える難民の潮流を
止められなくなりうる(p176)
・コンテナは生物兵器を運んだり、
テロリストの密航に使われたり、
違法なドラッグや武器などの
危険なものの密輸に使われたりする
可能性がある。
現在、アメリカでは約2%が
検査されているにすぎない(p184)
・企業は、製造をひとつの国で行い、
経理と事務を別の国で行い、
ソフトウエアをまた別の国で開発し、
顧客サービス用のコール・センターを
違う国に設け、世界各国に営業所を展開し、
節税のためにカリブ海の島で金融活動を行い、
それでも名目上は「アメリカ企業」を
自称していたりする(下p46)
・資本が大量にある国では、
法的な権利と所有権の原則にくわえて、
資産を投資可能な資本に転換するための
膨大なシステムがあり、これが経済の
開発と富の創出を刺激している(下p98)
・質問。世界最悪の恐慌のさなかに失業し、
生活に苦しんでいた暖房機器のセールスマンが
大金持ちになったが、その方法は何か。
回答。無数の人たちがゲームのなかで
金持ちになる方法を見つけたことで。
ゲームの名前はモノポリー。(下p106)
・コンピューターの専用ソフトを使って
何千、何百万もの企業の株価を一斉に調べ、
株価のわずかな変動をとらえて・・
何秒間だけ資金が「投資」されることが
少なくない。このため、証券取引所での
売買はかなりの部分・・
数式に基づく超高速の電子的
ポーカー・ゲームになっている(下p138)
・国民国家の政府がどう思おうと、
国という制度は力を失う方向にある・・
企業はすでにかなり以前から多国籍チェスを
指しており、国際的な水準で不釣り合いに
大きな影響力を行使してきた(下p312)
・ヨーロッパでは、移民の流入を主因に、
イスラム教徒の数が過去二十年に二倍になっており、
今後もキリスト教徒より増加率が
高くなると予想されている(下p318)
・サウジアラビアの支配層は巨額の石油収入を、
イスラム教でもとくに戒律のきびしい
ワッハーブ派の影響力を世界各地に
広めるために使ってきた・・
宗教だけを教える学校に資金を注ぎ込んだ結果、
アフガニスタンでタリバンが生まれ、
世界各地に職がなく、希望がなく、
怒れる若者が増え、いま、サウジアラビア政府の
転覆を目指している
テロリストすら生まれた(下p320)
・第三の波の革命的な富では、
知識の重要性が高まっていく。
その結果、経済は大きなシステムの
一部という地位に戻り、良かれ悪しかれ、
文化、宗教、倫理などが
舞台の中央に戻ってくる(下p350)
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【私の評価】★★★☆☆(71点)
■目次
第1部 革命
第2部 基礎的条件の深部
第3部 時間の再編
第4部 空間の拡張
第5部 知識への信頼
第6部 生産消費者
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