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「暗号解読―ロゼッタストーンから量子暗号まで」サイモン シン

2017/06/04公開 更新
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暗号解読―ロゼッタストーンから量子暗号まで

【私の評価】★★★☆☆(77点)


■暗号というと、シャーロックホームズの
 「踊る人形」が印象に残っています。


 このときは、出てくる文字の数を
 分析したと記憶しています。


 実際にも、文字の頻度は暗号解読の
 重要なポイントであるとわかります。


・暗号機が正しく使用されたなら・・
 メッセージ鍵を繰り返さず、シリーを使わず、
 プラグボード設定とスクランブラーの
 配置に制限を設けず、クリブを与える
 定型化されたメッセージを使っていなければ・・
 これらの暗号は解読されなかったかもしれない(p261)


■暗号は、情報社会でも活用されています。


 いくら暗号が難しくても
 使う人がルールを守らないと
 破られる可能性があります。


 鍵をランダムにして、
 スクランブラーもランダムにする。
 パスワードが大事なのですね。


 シンさん、
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・16世紀のイタリアでは科学者のジョヴァンニ・ボルタが、
 固ゆで卵にメッセージを隠す方法について次のように
 書いている。まず明礬(みょうばん)と酢を1対20の
 割合で混ぜ合わせたインクを作り、ゆで卵にメッセージ
 を書く。明礬溶液は多孔質の殻に染み込み、固ゆでに
 なった卵白の表面にメッセージを残す(p23)


・紀元前五世紀のスパルタで用いられた
 スキュタレーも転置式暗号の一つで、
 軍事用暗号装置としてはもっとも古いもの
 とされている。スキュタレーとは木製の
 巻き軸のことで、これにひも状の皮や
 羊皮紙を巻き付ける(p26)


・暗号化されたメッセージを解読する
 一つの方法は、もとの言語がわかっている
 ならば、その言語で書かれた文字を
 紙一枚ぐらい用意し、各文字の出現
 頻度を数えることである(p38)


・ワンタイム・パッド暗号の安全性は、
 ひとえに鍵がランダムだという点に
 かかっている(p172)


・政府暗号班は信心を登用するために
 『デイリー・テレグラフ』紙に匿名で投書し、
 このクロスワードを12分以内に解ける者は
 いるかと新聞の読者に呼びかけたことも
 あった(p246)


・ドイツのエニグマ(謎)暗号だけでなく、
 ブレッチレー・パークは日本の暗号も
 解読していた。これら三国の暗号文から
 得られる情報は、"ウルトラ"のコードネーム
 で呼ばれ、ウルトラ情報のファイルは、
 戦争の主要な局面すべてにおいて連合国を
 大いに優位に立たせた(p253)


・イギリスは、何千台ものエニグマ機を入手し、
 それらをかつて植民地だった地域に配給した
 のである。植民地の人々は、ドイツ人同様、
 その暗号は安全だと信じ込んでいた(p256)


・1942年6月に解読した日本の通信文には、
 アリューシャン列島を攻撃すると見せかけて
 アメリカ海軍を引きつけておき、その隙に
 本当の攻撃目標であるミッドウェー諸島を
 占領するという計画の概要が含まれていた。
 アメリカ艦隊はこの計画に乗せられたふりを
 してミッドウェーを離れたが、あまり
 遠くまでは行かないようにした(p260)


・古代エジプト文字を絶滅に追いやったのは、
 拡大するキリスト教会だった。キリスト教会は、
 過去におけるエジプト異教信仰とのつながりを
 断つべく、エジプト文字の使用を
 禁止したのである(p277)


・エトルリア文字、インダス文字など、
 重要な文字が未解読のまま
 残されている(p294)


・盗聴を行っているのは米国政府だけではない。
 フランスでは"安全保障のための傍受コントロール
 国家委員会"が、毎年ざっと十万件の非合法盗聴を
 行っていると推定されている(p407)


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【私の評価】★★★☆☆(77点)



■目次

第1章 スコットランド女王メアリーの暗号
第2章 解読不能の暗号
第3章 暗号機の誕生
第4章 エニグマの解読
第5章 言葉の壁
第6章 アリスとボブは鍵を公開する
第7章 プリティー・グッド・プライバシー
第8章 未来への量子ジャンプ


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