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「岩崎弥太郎と三菱四代」河合 敦

2016/10/11公開 更新
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岩崎弥太郎と三菱四代 (幻冬舎新書)


【私の評価】★★★☆☆(75点)


要約と感想レビュー

 この本では三菱グループの歴史を学びます。


 三菱を作ったのは土佐藩から三菱商会を設立した岩崎弥太郎。そして汽船会社を切り離し、銅山、水道、炭鉱、造船、銀行からなる三菱社を設立した弟の弥之助。そして弥太郎の長男の久弥、弥之助の長男の小弥太が社長を引きついで三菱の基礎を作りました。


・久弥は、機械工業に造詣が深かったことで、弥之助の方針を引き継いで、社長に就任すると重工業分野を重視し、資本投下を造船と鉱業に集中している(p183)


 三菱の歴史は平たんではなく、山あり谷ありと感じました。


 初期の汽船会社である三菱商会は、国策会社である共同運輸と競争となり、最終的に吸収合併されてしまいます。残された資金と小さな事業から岩崎彌之助が新たに三菱社という新会社を設立して再出発しています。第一次世界大戦で大きく儲けるも、第二次世界大戦では敗戦の混乱から大きく経営は傾きます。


 戦後の財閥解体でも三菱各社は生き残り、三菱グループは再生されています。国家社会のために事業を行うという三菱の経営理念がおぼろげながら見えてきました。河合さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・弥太郎の行動を見て思うのは、結局、出世する人間というのは、たとえどんな境遇に置かれても、成功するのではないかということである(p40)


・幕末に限らず、偉人の来歴を見ると、その多くが、誰かに引き上げられて、成功のきかっけをつかんでいる(p33)


・自分の尊敬する著名人のもとにアポなしで出向いていくということを、幕末の志士はよくやっている(p33)


・「石の上にも三年」というが、少なくとも十年は自分を信じて必死に頑張るべきだと思う(p40)


・キリンビール・・明治十七年に設立されたジャパン・ブルワリー・・同社で製造されたビールは、明治屋という販売代理店があつかった。明治屋は・・三菱の関連企業であり・・明治屋の社長米井源次郎は、岩崎弥太郎に協力をあおいでジャパン・ブルワリーを買収してもらい、同四十年、麒麟麦酒を創設したのである(p208)


岩崎弥太郎と三菱四代 (幻冬舎新書)
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河合 敦
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【私の評価】★★★☆☆(75点)


目次

第1章 龍馬を支えた商売の天才、岩崎弥太郎
第2章 弥太郎の野望―政府との果てなき闘い
第3章 温厚沈着な経営者、岩崎弥之助
第4章 久弥と小弥太の拡大経営



著者経歴

 河合 敦(かわい あつし)・・・歴史研究家・歴史作家・多摩大学客員教授、早稲田大学非常勤講師。1965年、東京都生まれ。青山学院大学文学部史学科卒業。早稲田大学大学院博士課程単位取得満期退学。歴史書籍の執筆、監修のほか、講演やテレビ出演も精力的にこなす。


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