「薀蓄雑学 説教の事典」池田 克彦
2016/09/13公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(75点)
要約と感想レビュー
元警視総監の訓示集です。すごいと思うのは、訓示の中に必ず一つうんちくを入れていること。どうせ訓示を聞くなら、「へー」と関心を持って聞いてもらいたいという著者の配慮なのでしょう。話す側は、聞いてもらう側に時間を取らせているのですから、配慮が必要なのです。
・井伊直弼には護衛が付いていたのですが、護衛の者は雪の中で刀が錆びないよう油紙を巻いていたため、刀を抜くのに時間がかかり、その結果、主君が殺されるという事態を招いたと言われています(p110)
私も知らないトリビアが満載です。よく言えば、博学。悪く言えば、知識をひけらかしている。でも、退屈な訓示より百倍いいなあ~という感じでしょうか。ただでは訓示しない、という著者のこだわりを感じました。
・クラーク先生は、「ボーイズ・ビー・アンビシャス」に続けてこう言ったのです。「ライク・ディス・オールドマン」like this old man(p166)
警視総監ともなれば、訓示の素案を部下が書いてくれることもあるでしょう。著者の場合、即、自分で書き直しですね。
池田さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・本来、乾杯は、毒殺防止のために、行われました。(p15)
・「セブン・イレブン・いい気分」・・・これは英語のThank Heaven Seven-Elevenの訳なのですが、直訳せず、原文の韻を踏むおかしみをうまく伝えています(p20)
・豊臣秀吉が、あるとき、側近にこう言ったそうです。「今日は、風が強いようだから、火事に気を付けるように」・・結局、その夜、家事は発生してしまいました(p98)
・松尾芭蕉の言葉に「古人の跡を求めず、古人の求めしところを求めよ」というものがありますが、過去の実績をなぞるだけでなく、過去において何をしようとしていたのかを追及すれば、今後の仕事に・・(p129)
・カルタゴの外交政策の基本は、「金で解決する」・・ローマは、カルタゴに無理難題を吹っかけ、何とか金で解決しようとするカルタゴから散々金を搾り取ったあげく、これを滅ぼしてしまいました。紀元前146年のことです(p245)
・警備を成功させる・・「1・2・3の法則」・・「第一報は信用するな」「任務は柔軟に」「参考までにご連絡」(p80)
・プロ野球の審判部には、かつて、「二度目のミスは犯さない」という格言がありました。その意味するところは、「埋め合わせはしない」(p92)
【私の評価】★★★☆☆(75点)
目次
コミュニケーション
危機対応
マネジメント
計画立案
人事管理
人材育成
業務改善
広報戦略
複眼思考
著者経歴
池田克彦(いけだ かつひこ)・・・第88代警視総監。1953年、兵庫県生まれ。1976年、京都大学法学部卒業後、警察庁入庁。警視庁広報課長、警視庁警備第一課長、岩手県警本部長、警視庁警備部長、埼玉県警本部長、警察庁警備局長などを歴任。2010年、第88代警視総監に就任。警備警察の第一人者として知られる一方で、雑学やユーモアにも造詣が深い。2011年に退官後、原子力規制庁の初代長官を務める。日本ペンクラブ会員
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