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「闇権力の執行人」鈴木 宗男

2016/06/19公開 更新
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闇権力の執行人 (講談社+α文庫)


【私の評価】★★★☆☆(71点)


要約と感想レビュー

2002年、外務省にかかわる疑惑事件により逮捕、拘留され、2010年に懲役2年の実刑となった鈴木宗男さんの一冊です。徹底した外務省の暗部を告発する内容になっています。


例えば、外務官僚が処理できずに著者のところに払うように回してきた請求書の総額は、一億円をはるかに超えるというのです。また外務省の西村氏は、秘密電報やトップシークレットが入ったピンク色の紙に印刷された極秘(限定配布)という電報を秘密解除の手続きを取らずに著者のところに情報提供していたという。


ロシア大使館での裏金の作り方は、大使館員が外交特権を利用して免税で高級車を安く買い、時間を置いてモスクワの他国の外交官に売ってルーブルに換金します。ルーブルは外貨に交換できないので、ルーブル委員会で闇レートでクローネに換え、クローネで支給されていた大使館員の給料と同じように、車の売却代金がクローネで振り込まれるという。


外務省から有罪の証拠の資料が裁判所に出ていましたので、もう守るべきものはありません。知っていることをすべて書こうじゃないかという感じです。


私が特に興味を持ったのは、創価学会の外務省への影響力です。外務省には創価大学閥があり、創価学会員も含まれているという。榎泰邦駐インド大使が外務省内の創価学会員の組織「大鳳会」のトップなのだとうのです。鈴木さんさん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・外務省にはこんな処世術があるという。「受けた恩は水に流し、かけた情けは倍付けにする(p21)


・イランと北朝鮮の関係は想像以上に深い。イランにテコ入れするのは、イスラム原理主義勢力や北朝鮮を利することになる・・こうした考えは、私の逮捕後、・・竹内行夫事務次官、孫崎享元駐イラン大使(現防衛大学校教授)のような外務官僚たちによって封じ込められてしまった(p168)


・外務省で国家の方針を決定しているのは、事務次官でも審議官、局長でもない。課長クラスなのだ。(p363)


闇権力の執行人 (講談社+α文庫)
闇権力の執行人 (講談社+α文庫)
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鈴木 宗男
講談社
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【私の評価】★★★☆☆(71点)


目次

序章 外務官僚の素顔
第1章 改革の敵
第2章 疑惑の裏側
第3章 高級官僚の夜の顔
第4章 腐臭が流れ出す場所
第5章 派閥と政治家の汚れたカネ
第6章 恐怖の国策捜査
第7章 騙されたメディア
終章 日ロ首脳会談の真実
解説 「私たちを罠に嵌めた人々」(佐藤優)



著者経歴

鈴木宗男(すずき むねお)・・・1948年、北海道に生まれる。拓殖大学卒業。衆議院議員・中川一郎の秘書としてスタートし、1983年、衆議院議員選挙に初当選。その後、防衛政務次官、外務政務次官、衆議院議院運営委員長、北海道・沖縄開発庁長官、内閣官房副長官、自由民主党副幹事長、同総務局長などを歴任。2002年、外務省をめぐる疑惑事件に巻き込まれて自由民主党を離党。同年、斡旋収賄の容疑で逮捕される。2003年に保釈。2005年9月の衆議院議員選挙に際し、新党「大地」を旗揚げし、復活を果たす


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