「大人もぞっとする初版『グリム童話』―ずっと隠されてきた残酷、性愛、狂気、戦慄の世界』」由良 弥生
2016/05/04公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(75点)
■シンデレラって、グリム童話なんだ・・
と思って手にした一冊です。
グリム童話とは、18世紀に
民間伝承を研究していたグリム兄弟が
ドイツの民話を収集したもの。
グリム童話とは研究の成果としての
民話集だったのですね。
・『赤ずきん』の話はフランスの口承民話が
原話だといわれています・・
この話では、なんとおばあさんが
百姓娘に食べられてしまうのです・・
百姓娘は、機転をきかせて間一髪で
狼から逃げ出せるのです(p244)
■グリム童話が多くの人に
読まれるようになって、
批判を言う人が増えてきます。
グリム童話は、そうした批判を
織り込みながらだんだんと
変わっていきました。
たとえば、「ヘンゼルとグレーテル」を
森に捨てたのは、継母(けいぼ)ではなく、
実母だったのです。
中世には、食い扶持を減らすために、
子どもを森に捨てることが
あったのですね。
・「ヘンゼルとグレーテル」は、・・・
それまで実母とされていた
ヘンゼルとグレーテルの母親が、
第四版以降は継母とされたのです・・
実の母が子どもたちを森に捨てようと
画策する初期の物語・・(p47)
■世の中はだんだん賢く、
豊かになってきているのだな、
と思いました。
今の時代に生きていることに
感謝したくなりました。
由良さん、
良い本をありがとうございました。
───────────────
■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・ヘンゼルとグレーテルが森へ
捨てられたのはどうしてか。
それは飢饉のためです・・
一家そろって飢え死にするぐらいなら、
食い扶持を減らしたほうがいい(p47)
・親の手に負えない娘を最終的に罰してくれるのが
「トゥルーデおばさん」なのです。
魔女は、犠牲者を館に引き込み、
恐怖のどん底に突き落としたかと思うと、
あっさり命脈を断つ(p83)
・「わがままな子ども」・・
キリスト教においては、親の言うことを
聞かない子どももまた石殺しにせよ、
という掟がありました。(p150)
・宗教改革で有名なマルティン・ルター
(1483~1546)もまた、
「反抗する子どもは裁判にかけて殺すべきだ」
とうい凄まじい書簡を残しています(p151)
・『灰かぶり(シンデレラ)』・・
Vairと呼ばれた材質の皮のことを、
ガラス(Verre)という言葉と
間違えてしまったのだ
という説があります(p192)
・「ガチョウ番の娘」・・「母上が悲しむ」
と言っていたのは、娘への同情ではなく、
「そんな人の言うなりの姿を母上が
ご覧になったら、母上は情けなくて
胸が張り裂けてしまうだろう」
という叱咤の言葉だったのだ(p266)
三笠書房
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【私の評価】★★★☆☆(75点)
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■目次
1 ヘンゼルとグレーテル
2 トゥルーデおばさん
3 長靴をはいた猫
4 わがままな子ども
5 灰かぶり(シンデレラ)
6 千匹皮
7 赤ずきん
8 ガチョウ番の娘
9 兄と妹
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