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「「悪意の情報」を見破る方法」シェリー・シーサラー

(2016年4月21日)|本のソムリエ
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「悪意の情報」を見破る方法 (ポピュラーサイエンス)

【私の評価】★★★☆☆(75点)


■情報が溢れる現代。


 正しい情報もあれば、
 歪曲された情報もある。


 この本では、歪曲の実例を見ながら、
 情報を受け取るときの
 注意点を学びます。


・地球温暖化、狂牛病、ナノテクノロジー、
 遺伝子組み換え食品、コレステロール低下薬の是非、
 レジ袋禁止の効果など、われわれが日々大量に
 受け取るメッセージのほとんどは・・・
 そのごく一部だけを見せるように
 周到な選択が施されている(p7)


■よくあるのは、
 一部の情報だけを強調することで、
 誤ったメッセージを伝えてしまうもの。


 たとえば、
 バナナがダイエットに良いからといって、
 バナナだけ食べていては
 健康に悪いでしょう。


 地球温暖化ガスが問題といっても、
 本当にそれが原因で地球が
 温暖化しているかどうかは
 100%確かではない。


 100%安全でない原子力を停止するなら、
 100%安全な自動車でなければ、
 自動車を使用停止するということに
 なってしまうのです。


・メディアは疑ってかかるべきだ・・・
 誇張したり,歪曲したり,過度に単純化したりして,
 最新の科学ニュースとしてセンセーショナルに
 書きたてることが少なくない(p40)


■意図的な情報操作だけでなく、
 限られた情報の中で決断することで、
 間違うこともあるようです。


 特に医療や医薬品関係では、
 人間を相手にするだけに、
 100%確実な検証は難しいとのこと。


 国家の判断が操作されると
 影響が大きいので注意したいものです。


 シーサラーさん、
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・広告ほど信頼できない情報源はない・・
 広告の目的は,その商品を売り込むことの
 一点に尽きるからである(p76)


・遺伝子組み換え作物は,はるか以前から,
 多くの農作物に対して私たちが行ってきた
 品種改良の延長線上にあるものであり,
 作物を人為的に変えるべきではないという
 倫理的な反論は成立しにくいといえる(p101)


・人為的な温室効果ガスの排出量にもとづいて
 地球の温度上昇を正確に予測できるかどうかは,
 この先数年,ないし数十年間に,自然の気候変数が
 どのように変化するかにも左右される。
 太陽放射の量は周期的に変動しているが,
 そうした変動によって太陽放射が減少したならば,
 二酸化炭素その他の温室効果ガスの増加によって
 起こると予測されていた温暖化が相殺される
 ということもあり得るのである(p103)


・「何と比較してか」を確かめる・・
 消費支出が何%伸びた,税金が何%上がった・・
 どれだけの期間に起きた変化なのか?
 消費支出額はインフレ率で補正してあるのか,
 ないのか?(p116)


・空中ブランコに乗って救急室に
 運び込まれる人の数よりも,
 フリスビーをしていて救急室に
 運び込まれる人の数のほうが多いからといって,
 空中ブランコよりもフリスビーのほうが
 危険だということにはならない。
 フリスビーの競技人口は,空中ブランコ乗り
 の人数よりも圧倒的に多いからである(p112)


・マンモグラフィー検査は,初期のがんを
 見つけるのにもっとも効果的な方法だが,
 専門家の多くが,閉経前乳がんの家族歴のない
 若い女性にとっては,メリットよりも
 デメリットのほうが大きいと主張する(p145)


・ある薬の非常に長期的な健康影響を,
 市場に出す前にヒトで評価することは
 現実には難しい。・・
 法外な費用がかかるだけでなく,
 新薬の開発と承認に要する期間が
 さらに何十年も延びる・・(p154)


「悪意の情報」を見破る方法 (ポピュラーサイエンス)
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【私の評価】★★★☆☆(75点)



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■目次

第1章 よくある科学への思い込み
第2章 利害と科学情報の関係性
第3章 科学問題は2択クイズじゃない
第4章 コンテクストと選択
第5章 偶然と因果関係との境界線
第6章 特殊か普遍か
第7章 数字のトリック
第8章 社会における科学
第9章 情報の落とし穴
結び 本書で紹介した知恵20箇条


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この著者の本 :


コメント(1)

おはようございます。
時間のあるときは読ませていただいております。

メルマガを継続しておられること、また続けやすくする方法をご自分で編み出されている姿勢に励まされております。

本日ご紹介された本について、少し引っかかったもので返信させていただきます。

『遺伝子組み換え作物は、はるか以前から、多くの農作物に対して私たちが行ってきた品種改良の延長線上にあるものであり、作物を人為的に変えるべきではないという倫理的な反論は成立しにくいといえる(p101)』

に共感されたのことですね。

どのように共感されたのかは私にはわかりませんが、遺伝子組み換え技術は品種改良とはまったく次元の違う技術です。

品種改良では「トウモロコシ」と「バクテリア」を交配させたりはしません(できません)。

それに、バクテリアから運び込まれた遺伝子はトウモロコシの中ではうまく働くことができません。

働かない遺伝子を起動させるための物質(プロモーター)も一緒に組み込まれます。

このプロモーターにより、元来トウモロコシのなかに眠っていた遺伝子までが働き出して、不要で有害かも知れない物質を産出する可能性が指摘されています。

それが遺伝子組み換え作物の危険性です。

そしてそのような技術を駆使した作物を家畜や私たち人間が食べ続けてよいものか?という問いがあるのだと思います。

けして植物を人為的に変えることについての反論があるのではありません。

作者はそのことをご存じないのか、あるいは意図的に問題をすり替えていらっしゃるように感じました。

私は書物また作者に対していつも敬意を払っておられる本のソムリエさんに反論したいわけではありません。

私自身子どもが生まれてから食べものについて考える機会が増え、遺伝子組み換え食品には危機感を持っているものですから、つい見逃せず、遺伝子組み換え作物について事実を知っていただきたいと思いました。


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