「禁煙学」日本禁煙学会
2016/03/27|

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【私の評価】★★★☆☆(74点)
■NPO法人日本禁煙学会の
ハンドブックです。
前半はたばこの毒性について
データにより検証しています。
・英国の研究では、75歳まで喫煙した男性の
肺がん死亡の累積リスクは15.9%であったが、
40歳で禁煙していると3.0%と小さくなり・・(p24)
■後半は、禁煙の手法について
整理されています。
面接で動機付ける方法や、
ニコチンパッチで抵抗を下げてあげる
方法があるようです。
どちらかといえば、
精神的な面が大きいように
感じました。
・喫煙者は、ニコチン依存症に罹患している・・
身体的依存と精神的依存の2つがある・・
依存症は、回復しても治癒しない。
再発予防の取り組みが必要である(p114)
■盛りだくさんで充実した内容でした。
やや面白みに欠けますが、
ハンドブックなので
こうした形となるのでしょう。
日本禁煙学会さん、
良い本をありがとうございました。
───────────────
■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・低タールの銘柄を吸っていた喫煙者も、
中間タールを吸っていた喫煙者に比べて
ややリスクが高い傾向があった
(肺がん死亡の相対危険度)(p13)
・健常者における虚血性心疾患に対するリスクは、
喫煙単独で1.6倍、高血圧合併喫煙者で4.5倍、
高コレステロール血症合併喫煙者で6倍、
両者合併喫煙者では16倍と報告されている(p26)
・1989年に報告されたShintonらの32の研究の
メタ解析では喫煙者の非喫煙者に対する
脳卒中の相対危険度は1.51倍・・であり、
病型別では脳梗塞1.92倍・・、脳出血0.74倍、
くも膜下出血2.93倍(p29)
・胃がんでは、喫煙によって相対危険度は男性で1.6倍、
女性で1.5倍に上昇し、喫煙は男性胃がんの原因の
約30%を占めることが示されている(p45)
・喫煙者の脳は、喫煙していないときは、
機能低下状態にあり、喫煙でニコチンが入ると、
一時的に健常者と同等となる。
しかし、喫煙者には「タバコで頭が冴えた」・・
と認識されてしまう(p115)
・再喫煙してしまうケースが多い・・
過食や飲酒、ギャンブルなどのほかの
依存行動に陥ることを防ぎ・・
新たな習慣を身につけることが効果的である・・
健康的な趣味やスポーツなどであろう(p120)
・JTの従業者が官庁に採用され、職員となっている・・
国のタバコ政策に影響する重要な部署とJTとの
官民癒着が生じている(p270)
・「タバコ族議員」と呼ばれる、自民党農水族・大蔵族を
中心とする議員が、これまで厚生省(厚生労働省)に
圧力をかけて、タバコ規制を妨害してきた(p270)
【私の評価】★★★☆☆(74点)
読んでいただきありがとうございました!
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■目次
I 喫煙の医学
1 タバコ煙の成分
2 能動喫煙による疾患
3 受動喫煙による疾患と対策
II 禁煙の医学
1 総 論
2 禁煙の心理学
3 薬局・薬店での禁煙指導・支援
4 医療機関での禁煙指導・支援
III 世界の潮流と日本の現状
1 総 論
2 受動喫煙の防止
3 禁煙教育
4 タバコの値上げ
5 タバコのパッケージ
6 タバコの広告・販売促進活動・スポンサー活動の禁止
7 各国が守らねばならないこと
IV 日本禁煙学会認定制度