「あなたはボノボ、それともチンパンジー?」古市剛史
2016/03/02公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(78点)
■アフリカにチンパンジーに似た
ボノボという類人猿がいます。
ボノボの特徴は、
攻撃的なチンパンジーと違い
平和的であること。
この差は
どこから生まれたのでしょうか?
・チンパンジーのメスは妊娠の可能性のある
時期にしか発情しないが、
ボノボのメスは全く妊娠の可能性のない
授乳期や妊娠中にも発情する(p17)
■古市さんの答えは、
ボノボのメスが頻繁に
発情するから。
チンパンジーは発情する
メスが少ないので、
オス同士が戦って交尾する。
一方、ボノボは発情している
メスの数が多いので、
オスは戦うよりもメスに
好かれるほうが交尾できる
可能性が高まるのです。
・ボノボのメスのニセ発情は・・
メスは性の選択権を取り返し、
オスと対等にふるまえる地位、
あるいはそれ以上に、オスを
牛耳ることのできる地位を得たのだ(p128)
■家族の在り方、性の在り方が、
社会の在り方さえも変えてしまうのだと
驚きました。
ボノボやチンパンジーを
研究するということは、
同じ類人猿のヒトを
研究することにもなるのでしょう。
古市さん、
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・ボノボもチンパンジーと同様に、
アフリカ中央部の赤道付近、
コンゴ盆地に住む類人猿の一種だ(p6)
・ヒトともっとも系統関係が近いのは
同率首位のチンパンジーとボノボ、
その次に近いのはゴリラ(p12)
・チンパンジーの大人は、とても高度な
社会的知能をもち、同盟、連合、裏切りなど
様々な社会的テクニックを駆使して
自分の地位を上げようとする(p50)
・いつもほかの仲間のことを
気にかけてできるだけ行動をともにしようと、
和気あいあい遊んでくらすボノボたち(p55)
・ボノボに限らず多くの霊長類のオスは、
若いメスにはあまり関心を示さない・・
交尾の目的が何よりも
自分の子どもを残すことにある・・(p76)
・チンパンジーとボノボのメス・・
発情期になると、普段はしぼんでいる性皮と
呼ばれる小陰唇にあたる部分が
ぷっくりと大きくふくらみ、まるで
尻に薄い肌色の大きなこぶが
できたように見える(p86)
・少しヒトから離れたゴリラやオランウータンでも、
メスの初産年齢はやはり十五歳くらいだ。どうやら、
十五年という長い未成熟期間は、かなり古い時代に
ヒトと類人猿の共通祖先で進化した特徴らしい(p93)
・ボノボがもつ平和的傾向のほとんどが
メスの行動に起因している(p184)
朝日新聞出版 (2013-12-10)
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【私の評価】★★★☆☆(78点)
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■目次
第1章 熱帯雨林のボノボの暮らし
第2章 性の進化の袋小路
第3章 オスたちの競合をどう抑えるか
第4章 集団の壁を越えた戦い
エピローグ ヒトはボノボでいられるか
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