「心のウラを見抜く技術―元アメリカ陸軍取調官が明かす」グレゴリー・ハートリー、マリアン・カリンチ
2016/01/15公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(88点)
要約と感想レビュー
アメリカ陸軍取調官の教える取調べのテクニックです。著者は、退役後、この捕虜から情報を引き出すテクニックが、日常生活で活用可能と気づきました。
他人の弱みを発見し、そこを徹底して攻撃する。これは、「交渉」「しつけ」「指導」と言われたり、あるいは「いじめ」「ハラスメント」と言われるものと似ているのです。
・他人の弱みを見つけ、そこを徹底的に攻撃する・・取調官はいじめっ子に似ている(p11)
まず、相手をよく知ることが大切です。(ベースラインを知る)論理タイプか、直感タイプか。感情を出すか、冷静を装うか。記憶を思い出すとき、目はどこを見るのか。相手を良く知ることで、どう相手を追い込むのか、嘘を言っているのかどうか、分かるのです。
相手を追い込むときには、相手の弱点を知り、そこを突くのです。相手を窮地に追い込む質問をしましょう。最終的に「おまえはそれでも、課長なのか?」と言えるように相手の弱点を探すのです。こうした攻撃を続けていくうちに、自分はダメなのではないか、と感じ始めるのです。
・人から確実に情報を引き出すには、まずベースライン作りのための質問をし、その人がどんなタイプの人間なのかを判別しておく必要がある(p54)
あとは、相手の性格に合わせて、どう相手を追い込むのか決めます。単純に相手の自尊心を破壊するのか(プライド・アンド・エゴ・ダウン)。それとも、相手の発言の中から矛盾する点を引用して、攻撃するのか。
ただ、日常生活では、相手を貶める行為は、後で反撃される可能性がありますので、あまり使わないようにしましょう。仮に反撃されたとしても、相手の弱点を探すことです。反論せずに、相手の発言の中の事実の間違い、論理の誤り、感情的反応などを記憶して、反撃の機会を待つのです。
・プライド・アンド・エゴ・アップまたはダウン(自尊心を満たす、またはおとしめる)・・「君みたいな頭のいい人間がただの一平卒だなんて、とても信じられないな・・」このアプローチは知的な人間に対して効果を発揮することが多い(p117)
前の職場の部下が使っている技術と似ていると思いました。質問を続けて相手を追い込む。矛盾点を指摘して、相手の自尊心を破壊するのです。また、ある人は感情的に怒鳴り、相手を委縮させて、自分の思い通りに誘導するのです。
もし、意図的にやっているとすれば、監禁された捕虜へのテクニックと同じであり、すばらしい技術だと思いました。ハートリーさん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・毎日のお決まりの行動は、その人のベースラインである。ベースラインから外れるのは、ウソではなく、ストレスの現れである(p154)
・自分の知らないことについては、議論をしない。知らないことについて言い争って、相手に負かされ続けていると、有害なパターンが作られてしまう(p174)
・ミニマイジングとは問題を最小限に見せる手法・・「あのクッキー、どうしたのよ!」と強い口調で問い詰めるのではなく、「あらら。わたしがクッキーをあんなところに 置いたのがいけなかったのね」と言う。それから、ほんの少しだけ相手を非難しているふりを装う。クッキーの瓶を誤って倒してしまったと、自白させるためである(p136)
・議論の矛先を変える手っ取り早い方法は、質問者に質問を返すことである・・この手口は、互いの関係修復・維持よりも、とにかく相手に勝ちたいと思っているときだけに使うものだ(p176)
・相手が怒鳴り始めたら、黙る。怒鳴りが止むまでは、一切返答しない・・あなたが怒鳴り返すと、相手に自分が怒鳴ったのは正しかった、と思わせることになるからだ(p175)
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【私の評価】★★★★☆(88点)
目次
第1部 心のウラを見抜くための必要知識
第2部 取り調べツールを学ぶ
第3部 取り調べツールを恋愛・結婚生活に応用する
第4部 取り調べツールをビジネスに応用する
第5部 自分の身を守る
著者経歴
グレゴリー・ハートリー(Gregory Hartley)・・・米陸軍諜報機関の発展に著しい貢献をしたと認められた者に贈られるノールトン賞を受賞。米陸軍インテロゲーション・スクール、アンチ・テロリズム・インストラクター認定コース、プリンシパル・プロテクション・インストラクター認定コース、ビヘイビアル・シンプトン分析セミナー、SERE(生存・回避・抵抗・脱出)スクール課程修了。SEREの教官、砂漠の嵐作戦中の第五特殊部隊へのサポート、指導取調官、複数の統合軍の創設者及び指導者、さらには1994~2000年にかけて様々な国で取り調べの訓練を行い、取調官としての卓越した能力を発揮。陸軍時代に、勲功記章(2回受章)、陸軍称揚賞(5回受賞)、陸軍任務完遂勲章(4回受章)、国防従軍記章、南西アジア従軍記章、クウェート解放記章を受章。また、ラトガース大学法学部にも在籍した。最近では、その鋭い洞察力と確かな分析力が、CIAや国営テレビ局といった組織からも注目されている
マリアン・カリンチ(Maryann Karinch)・・・劇場の支配人として、ワシントンD・Cで芸術及び教育プログラムの基金を設立。ワシントンD・Cのアメリカ・カトリック大学でスピーチ及びドラマの学位及び修士号を取得
読んでいただきありがとうございました!
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