「ハード・シングス」ベン・ホロウィッツ
2015/12/21公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(85点)
■アメリカのインターネットバブル期に
著者はブラウザ開発のネットスケープで
働いていました。
マイクロソフトの無料攻勢で追い詰められ、
ネットスケープがAOLに買収されたのを機に
著者はベンチャー企業を設立します。
インターネット上にクラウドという
仮想空間を作る「ラウドクラウド社」です。
会社は順調に成長していきましたが、
タイミング悪くネットバブルが崩壊。
成長する企業に必要な
資金の調達ができないのです。
・常に打つ手はある・・
IT企業が上場するには史上最悪の時期だと
誰もが考えていたとき、私はそうした。
6週間分の現金しか残っていなかった。
打つ手は必ずある(p99)
■投資をしてくれる人を探しながら、
打てる手は限られています。
(1)会社の規模を大幅に縮小する
(2)会社を売却する/清算する
(3)大量の新株を発行する
いずれも地獄の道が待っている。
しかし、CEOである自分が
決断しなくてはならないのです。
さらに、業績を下方修正を発表
しなくてはならない。
競争力ある製品を開発するか、
買収してこなくてはならない。
会社の運命を決める決断が、
次から次へと求められるのです。
・こう自問してみた。「起き得る最悪のことは何か?」
「倒産し、母を含めて全員の財産を失い、
ひどい不景気の中で一生懸命働いてくれた人たちを
全員レイオフしなければならず・・・
その質問で気分が楽になったことなど一度もなかった(p59)
■ベンチャー企業の社長とは、
すべての関係者の運命を決めるようなことを、
すべてを自分の責任で決断することが
求められるとわかりました。
恐ろしい重圧なのだと思います。
ホロウィッツさん、
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・大企業の幹部は割り込み駆動型になりがちだ。
対照的に、スタートアップの幹部の場合、
自分が仕掛けない限り何も起こらない(p173)
・実生活では誰でも「人気があって容易だが、
間違った決断」と「困難で人気がなく、
しかし正しい決断」のどちらを選ぶか
迫られることがある(p293)
・私は、高校時代に出会った
偉大なフットボール・コーチ、
チコ・メンドーサからチームにショックを与え、
奮い立たせる独特のテクニックを
借りることができた(p377)
・予測を下方修正した途端、
投資家の信用を失うのですから、
全部の痛みを今、受け入れるべきです・・
くそを食らうときは一口でないと。(p56)
・ハイテク企業における不正は、
セールス部門で始まることが多い。
往々にして、セールス部門の成績を
無理に上げようとするマネジャーの暴走が
端緒となる(p221)
・エンジニアはアップデートのスケジュールを
3カ月遅らせればこの問題を修正できると見込んだ・・
作業は当初の見込みより難航し、スケジュールは
9か月遅れた。ただ、問題は修正された。
さて、会社はこのエンジニアの創造性と勇気を
賞賛すべきだろうか。それともスケジュールの
9カ月の遅れの責任を問うべきだろうか(p340)
【私の評価】★★★★☆(85点)
読んでいただきありがとうございました!
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■目次
第1章 妻のフェリシア、パートナーのマーク・アンドリーセンと出会う
第2章 生き残ってやる
第3章 直感を信じる
第4章 物事がうまくいかなくなるとき
第5章 人、製品、利益を大切にする――この順番で
第6章 事業継続に必須な要素
第7章 やるべきことに全力で集中する
第8章 起業家のための第一法則
第9章 わが人生の始まりの終わり
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