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「逆境経営」桜井 博志

2015/12/11公開 更新
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逆境経営―――山奥の地酒「獺祭」を世界に届ける逆転発想法

【私の評価】★★★★☆(88点)


■山口県の幻の銘酒
 「獺祭(だっさい)」の
 生まれるまでの物語です。


 「獺祭」を造っている旭酒造は、
 なんと今にも倒産しそうな
 弱小酒蔵だったという。


 造っているのは普通酒だけで、
 日本酒市場が縮小する中で
 売上がどんどん下がっていきました。


 紙パック酒や地ビールを
 造ってみましたが、
 うまくいきません


 ついには、杜氏が逃げ出し、
 自分で酒を造るしか
 できなくなったのです。


・「どうやら旭酒造はつぶれそうだ」と
 経営難を聞きつけて、酒造りを総括する杜氏が
 いなくなった。じゃあ、私と社員だけで
 「手順書」どおりに酒を造り、可能な限り
 数値化して品質の安定をはかろうじゃないか(p5)


■もうだめだ。
 眠れない日が続きました。


 もう、死んだも同然。
 ここまで来たら、
 やれることをやってみよう。


 ただ、美味しいお酒を造ってみよう


 そう決心したものの、
 純米大吟醸を造る杜氏はいない。


 純米吟醸酒に向いた米の
 仕入先さえわからない。


 すべて手さぐり状態から
 始まったのです。


・23%という極限値に設置したのも、
 確たる根拠があったというよりも、それが、
 当時は日本一低い精米歩合だったから、
 そこまで削ろうと決めただけでした(p24)


■人から見捨てられ、
 自分のすべてを捨てたときに、
 道が開けてきました。


 どん底から幻の酒が
 生まれたのですね。


 獺祭を飲みたくなりました。


 桜井さん、
 良い本をありがとうございました。


────────────────────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・私が社長になったころの旭酒造にとって、
 酒蔵商売の"正攻法"とは、一生懸命に
 酒屋さんを回って人間関係を築き、
 酒を売ってもらうことにありました・・
 「よい酒を造る」という視点は皆無でした(p8)


・あれだけ「酒が売れないから仕事がない」
 と嘆いていた古参の瓶詰め部門にいた社員たちが、
 実際に忙しくなると、
 みな辞めてしまいました(p32)


・「お前は、杜氏をイジりすぎる」と
 一部関係者に苦言を呈されることもあったほどです・・
 仮に優秀な杜氏が来てくれたとしても、
 造りたい酒の方向性が同じとは限らないのです(p38)


・吟醸酒に向いた高級米を
 確保する手立てがわからなかった・・
 経済連に「種もみ」をください」と言ったら・・
 3年目もいただけなかったので、
 堪忍袋の緒が切れて、
 「山口県内では、経済連を通して、
  米を1俵たりとも買わない」 
 と啖呵を切りました。(p47)


・数値に落とせることはすべて数値に落とし、
 理論で解析できるところは理論で解析し、
 そのうえで人間にしかできないことを
 人間が判断する
ということです(p84)


・社内の製造部門に向けては、
 費用対効果は考えなくてもいいから、
 行けるところまで行け、と言っています。
 「費用対効果」と言った瞬間に、
 この程度でいいんだ、という
 甘さが出るからです(p94)


・一般には「米余り」の印象が強いと思いますが、
 少なくとも酒造りの現場ではコメが足りません・・
 対する農水省は、一律的に供給を絞り続ける生産調整
 (減反政策)を続けてきて、「米余り」を演出・・
 結局のところ、戦後一貫して農水省が米を保護するために
 規制してきた結果、農家からやる気も実行力も
 奪ってしまった、ということに尽きる(p203)


逆境経営―――山奥の地酒「獺祭」を世界に届ける逆転発想法
桜井 博志
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【私の評価】★★★★☆(88点)


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■目次

第1章「負け組」の悲哀を忘れない
第2章 大失敗から学ぶ
第3章 捨てる勇気を持つ
第4章 「できること」と「やるべきこと」をはき違えない
第5章 常識や慣習にとらわれない
第6章 伝統が持つ奥深さを侮らない
第7章 発信しなければ伝わらない
第8章 打席に立ったからには、思い切りバットを振る


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