「騙されてたまるか 調査報道の裏側」清水 潔

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騙されてたまるか 調査報道の裏側 (新潮新書)

【私の評価】★★★★☆(81点)


■雑誌「FOCUS」編集部から
 日本テレビ報道局記者となった
 清水さんの一冊。


 事件を追う清水さんは、
 これまでに桶川ストーカー殺人事件、
 冤罪が確定した足利事件など
 警察の捜査の先を行っています。


 それは雑誌記者時代に学んだ
 徹底した調査に基づいて
 記事を書いてきたからなのでしょう。


・雑誌記者時代に、先輩からこんな言葉を
 伝授されたことがある。
 「100取材して10を書け。
  10しかわからなければ1しか書くな」(p251)


■現場を取材していると、
 何かおかしいと
 感じるものがある。


 司法や警察が
 機能していないこともある。


 そうしたことを
 丁寧に裏取り取材をすることで、
 真実が浮かび上がるのです。


 そして、それを報道することで、
 社会を動かし、
 司法・政府を動かすことがあるのです。


・謎を解く 北朝鮮拉致事件・・
 富山県では、誘拐される寸前に逃げ出した男女が
 いたのだ。二人は、外国語を話す数名の男たちに
 突然襲われて拘束されたという。・・
 だが、たまたま近くにいた犬が吠えた。・・
 現場に残されたのは日本国内では見かけない
 手錠やゴム製の口かせなどだ(p178)


■報道というものの
 良い面を知ることができました。


 そして、自ら調査せず、
 警察や行政の情報をそのまま報道している
 業界の雰囲気もわかりました。


 清水さん、
 良い本をありがとうございました。


────────────────────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・余談だが、以前、クラブに加盟している
 新聞記者からこんな話を聞いたことがある・・
 「僕らは事件記者じゃないんです
  警察に詰める警察記者なんですよ」
 なるほど、と私は腑に落ちた。
 私は事件を追う。記者クラブ員は官庁を追う。
 その違いは大きい(p135)


・県庁に出向いた。広報課を訪ねると、・・・
 「会見は記者クラブ員だけになります。」・・
 「後ろから写真を撮るだけだから問題ないでしょう」
 と言いながら、私は名刺を渡した・・
 驚くことにそれは通信社の名刺だったのである。
 彼は県庁職員ではなく時事通信の記者で、
 たまたま幹事をしていたのだ。
 「クラブで決めたことなんで」(p133)


・2009年、日本テレビで誤報が起きた・・・
 翌日の朝日新聞には、厳しい見出しが躍った。
 〈ずさん取材、誤報生む〉〈証言頼み、甘い裏取り〉・・
 (「朝日新聞:2009年3月17日)・・
 それから五年後の2014年、朝日新聞の
 「従軍慰安婦」記事問題が勃発・・
 その核を成していた男の証言が「事実でなかった」
 ことを朝日新聞は認めざるを得なくなった(p162)


・「菅家、おまえ子供を殺したな」と
 刑事はいきなり怒鳴った。・・
 机の下で足の脛を蹴飛ばされ、
 髪の毛を後ろに引っ張られ顔を上げられた。
 十時間以上も続く厳しい追及。・・
 "真実"を話せば怒鳴られ、
 "嘘"をつけば優しくされた(p89)


・警報199条の「殺人罪」は、確定的殺意または未必的な
 殺意を証明できなければ成立しない。だが裁判所は
 「被告人の行為で死亡した疑いが強い」と認定している。
 ならは205条の「傷害致死」では裁けないのか。
 ところがこちらの時効は七年なのだ。・・・
 「被告は何らかの方法で秀徳君を殺したが、
  殺意の有無がわからないので結局は時効です」(p198)


・日本とブラジルとの間に犯罪人引き渡し条約はない
 (取材当時日本はアメリカと韓国の二ヶ国のみと
  条約を結んでいた)仮に条約を締結していても、
 ブラジルの憲法は自国民の海外引き渡しを
 禁止している(p16)


・パトリシアとその父親は日本から一緒に
 逃亡している・・父親が私に放った台詞は、
 <地獄へ落ちろ!>だった(p26)


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清水 潔
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【私の評価】★★★★☆(81点)



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■目次

騙されてたまるか―強殺犯ブラジル追跡
歪められた真実―桶川ストーカー殺人事件
調査報道というスタイル
おかしいものは、おかしい―冤罪・足利事件
調査報道はなぜ必要か
現場は思考を超越する―函館ハイジャック事件
「小さな声」を聞け―群馬パソコンデータ消失事件
"裏取り"が生命線―"三億円事件犯"取材
謎を解く―北朝鮮拉致事件
誰がために時効はあるのか―野に放たれる殺人犯
直当たり―北海道図書館職員殺人事件
命すら奪った発表報道―太平洋戦争


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