「企業買収」木俣貴光
2015/07/13公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(84点)
■現役コンサルタントが
経験した企業の吸収・合併(M&A)の流れを
小説でまとめた一冊です。
この本では大手食品会社が、
海外事業を拡大するために、
同業他社を吸収・合併しています。
大きな流れを仮想体験することで、
リアルな学びが得られるのです。
・戦略に合致した「よい企業」を買収したいのであれば、
幅広い情報収集を行い、みずから積極的に仕掛けていく
姿勢が必要である。意中の相手には、数年かけて口説き
落とすくらいの根気が求められる(p18)
■法律や手続きもありますが、
相手のあることなので、
段取りや準備が大事と感じました。
相手側が受け入れやすい
状況をどう作るのか。
どのような課題が起こる可能性があり、
事前にどのような準備を
しておくべきなのか。
これらは知識と体験により
積み重ねられるものなのでしょう。
・マスコミ対策も重要である。事前にマスコミに
情報が漏れないよう細心の注意を払うことは当然の
こととして、万が一、マスコミから記事が出た場合の
対応も想定しておくことが望ましい。(p263)
■下手な経済小説より、
面白く読むことができました。
現実のM&Aでは実に
いろいろなトラブルが起きる
とのことです。
本当に
「現実は小説より奇なり」
なりなんですね。
木俣さん、
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・お互いに相手への興味が確認できたところで、
まずは両社トップによる会談を行うとよい。
その会談でM&Aに向けて
両社トップが意気投合できれば、
その後の交渉はスムーズに進む(p32)
・相手とのやり取りは、われわれアドバイザーを
通していただきたいんです。M&Aでは、
情報を一元的に管理することがとても大事です(p58)
・債務超過会社の株主資本コストは、
どう考えたらいいと思う?・・・
数字の意味合いをしっかりと考えたうえで、
評価対象会社の実態に合わせて割引率を
設定しなければいけない(p81)
・交渉上、価格の根拠について相手方から
提示を求められることがあるが、どこまで
明細を提示するかは慎重に検討する必要がある。
一般には、DCFの前提とした事業計画については
開示しても、割引率の内訳までは開示しないことが
多い。これは、割引率の設定に関して技術的な
議論に終始し、交渉が本質とはずれてしまうことが
往々にしてあるためである(p217)
・事業意欲が旺盛な経営トップがいる場合、
他社への移籍や独立など、競合避止義務違反を
犯すリスクがあることに留意が必要である(p235)
・経営における重要な経営資源であるカネ(財務)と
ヒト(人事)を管掌する管理部門担当役員は、
経営管理を有効に機能させるために、
買い手企業から派遣することが望ましい(p270)
【私の評価】★★★★☆(84点)
読んでいただきありがとうございました!
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■目次
プロローグ-突きつけられた売上目標
第1章 買収候補を探せ
第2章 プロジェクト始動
第3章 企業の価値とは
第4章 非常事態発生
第5章 粉飾の発覚
第6章 タイム・イズ・ザ・エナミー
第7章 見えてきたゴール
第8章 ポスト・ディールへの準備
第9章 クロージング
エピローグ-高島の決意
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