「にわかには信じられない遺伝子の不思議な物語」サム・キーン
2015/03/13公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(72点)
要約と感想レビュー
人間の細胞内DNAについての知見をまとめた一冊です。理系の私としては、単純に面白い。人のDNAは解析されましたが、それがどういう意味を持ち、どういう働きをしているのかは、まだ分かっていないのです。
例えば、祖父にパーキンソン病を引き起こしたかもしれない分子が、自分の細胞にもあるのかどうかは知ることができます。ロートレック家の人々は身内どうしで結婚したため、近親婚により劣性突然変異が表に出てくる可能性が高いことも知っています。しかし、DNAがどいう機能を果たしているのかはわからないのです。
・DNAはハードとソフト両方の機能を果たし、情報の保存も命令の実行も行う・・自らを何度も完璧に複製し、RNAとタンパク質を紡ぎ出し、原爆による損傷に耐え、単語と句ををコード化し、いくつか極上のメロディーを奏でる(p107)
DNAの複雑でありながら、永続する仕組みの不思議。多くの動物が共通の遺伝子を持ち、まったく違う形態となっている不思議。STAP細胞騒動を思い出しながら、細胞や遺伝子がこれから面白いと感じました。
例えば、私たち人類は22万年前に第二の突然変異が起こって、不快な脂肪とコレステロールを分解できるようになりました。同じようにHIVが本当にまん延して地球上の大半の人々を消し去ったら、HIVに免疫があるほんの一握りの人が、新種のヒトとして進化する可能性があるのです。
キーンさん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・科学の同時性・・・複数のチームが二重らせんをほぼ突き止め、1963年には二つのチームがDNAに関する別の重要な要素を発見した・・両チームとも、ミトコンドリアには独自のDNAがある証拠をつかんだ(p118)
・真の雑種形成には昔ながらの精子と卵子の対等な合体が必要であり、いまのちゃんとした科学者はほぼ全員、ヒトとチンパンジーの受精は不可能だというほうに金を賭けるだろう・・・ヒトとチンパンジーが子どもをつくれるとは思えないもう一つの理由は、この二つの種では染色体の数がちがうことである(p217)
朝日新聞出版
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【私の評価】★★★☆☆(72点)
目次
第1部 決め手はA・C・G・T―遺伝子スコアの読み方
第2部 動物としての過去―這うもの、跳ね回るもの、殺すもの
第3部 遺伝子と天才―人間が人間らしくなったわけ
第4部 DNAのお告げ―過去、現在、未来の遺伝学
著者経歴
サム・キーン(Sam Kean)・・・ワシントン州在住のサイエンス・ライター
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