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「ストーリーとしての競争戦略」楠木 建

(2014年8月29日)|本のソムリエ
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ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)

【私の評価】★★★★☆(85点)


■戦略というとかっこいいのですが、
 戦略とはいったい何なのでしょうか。


 この本では、戦略とは経営者が
 頭の中に描いた道筋
 ストーリーであるとしています。


 戦略が正しいから成功するわけではなく、
 うまくいったストーリーが
 戦略なのです。


・未来は不確実です。どんなに精密に分析しても、
 結局のところ将来どうなるかは正確にはわかりません。
 どこかに一つ正しい戦略があるわけではないのです・・
 われわれはこの道筋で進んでいこうという
 明確な意思、これが戦略ストーリーです(p50)


■優れた戦略は、一見非合理です。


 だれもが、
 「そんなバカなことを・・」
 と考える。


 ですから、同じする人が
 なかなか出てこない。


 例えばガリバーは中古車買取り専門店です。
 本来、買い取った中古車は、
 自分で売ってしまえば儲けが大きいのに、
 オークションですぐに売ってしまう。


 これを寿司屋に適応すると、
 マグロを買ってきて、寿司にして
 自分で売るのが当然なのに、


 マグロを買って、そのまま他の寿司屋に
 マグロを転売するようなもの。


 売れ残りのリスクを減らして、
 確実に儲ける戦略と言われれば
 確かにそのとおりなのです。


・それだけでは一見して非合理だけれども、
 ストーリー全体の文脈に位置づけると
 強力な合理性を持っている(p318)


■多くの会社の例が示され、
 絶対正解の戦略はないと断言する
 潔さが印象的な一冊でした。


 一番いい戦略は、いろいろ小さくやってみて、
 うまくいったら大きくやる、
 という試行錯誤ではないでしょうか。


 うまくいくまで試行錯誤すれば、
 必ずうまくいくのですから。


 楠木さん、
 良い本をありがとうございました。


─────────────────────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・JT(日本たばこ産業)は数少ない新規参入企業の
 一つですが、製薬業界に参入した背景には、タバコ事業から
 毎日毎日上がってくる猛烈な日銭収入の存在があります。
 キャッシュリッチな企業だからこそ、大きな、しかも
 長い潜伏期間がある投資に耐えられるわけです(p93)


・店舗からは経験や勘、これまでに成功した仮説に
 かかわる情報が店舗指導を担当する「オペレーション・
 フィールド・カウンセラー」(OFC)を通じて
 本部に伝えられます。本部からもOFCを通じて、
 本部に集約されたさまざまな成功事例が店舗に
 フィードバックされます(p131)


・フォードは頑張りが利かないのが問題だ。
 しかし、マツダは何でも頑張れば
 なんとかなると思っている。
 マツダは何を頑張らなくてもいいかを
 はっきりしなければいけないし、フォードは
 マツダの頑張りに学ばなくてはいけない(p158)


・アスクルの戦略ストーリーでも、あえて
 意図的に既存の問屋・小売業者を取り込むという
 一見して非合理な要素が・・・競争他社に対しても
 重要な差別化の源泉となっていることがわかります(p345)


・ガリバーが1994年に事業を開始するまで、
 なぜ同じようなことをやる企業が
 現れなかったのでしょうか。(p408)


口で言うのは簡単ですが、ストーリーの全面書き換えは
 一般にきわめて困難です。・・・革命的なストーリーの
 書き換えに成功した企業の例・・IBM・・ネット証券
 の先駆的企業へと脱皮を遂げた松井証券(p459)


ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)
楠木 建
東洋経済新報社
売り上げランキング: 1,441

【私の評価】★★★★☆(85点)

■目次

第1章 戦略は「ストーリー」
第2章 競争戦略の基本論理
第3章 静止画から動画へ
第4章 始まりはコンセプト
第5章 「キラーパス」を組み込む
第6章 戦略ストーリーを読解する
第7章 戦略ストーリーの「骨法10カ条」


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