「Happiness幸福の探求―人生で最も大切な技術」マチウ リカール
2014/04/28公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(79点)
要約と感想レビュー
フランス人ながら35年間チベット仏教僧として修業をしてきた著者の一冊です。幸福についてよく調べているな、という印象でした。私たちは、まず、幸福とはなんなのか、しっかり理解しなくてはなりません。
子どものような欲望のままに欲していれば、それは欲望の虜になっているということでしょう。つねに、これは自分を幸せにするのかどうか、問いかけることが大事です。単に自分の快楽のためにやりたいのか、長期的に自分を幸せにするのかどうか考えるということです。
・フランスの作家で批評家のバルベー・ドールヴィイは、「快楽とは狂人の幸福であり、幸福は聖人の喜びである」と書いている(p55)
幸せとは、心の状態です。その心というものをよく知らなくてはなりません。欲望とエゴのある心の本質を知るのです。だれにもエゴもあれば、嫉妬もあります。それを否定するのではなく、うまくコントロールして、自分の幸せのために整理するのが賢いのではないでしょうか。
さらに、自分の心の苦しみを他人に責任転嫁するのは、間違いです。自分の環境を変えたければ、自分の心を変えるしかないのです。
・心の内側を観察することこそ学ぶべき重要なことである(p45)
仏教ですので、自分のエゴから離れることを目指しています。自分のエゴに拘束された人は、自分のことだけで精一杯になってしまい、挫折し、当惑し、意気消沈するのです。己の成功、失敗、希望、心配などのエゴに取りつかれることで、幸福はどんどん遠ざかるのです。
著者の提案は、欲望、嫉妬、高慢、攻撃、強欲等の激しい感情というエゴに取りつかれたら、おだやかで平和な情景を思い描くということです。
チベット仏教というこんなに素晴らしい宗教があっても、中国の軍事侵略によってチベット仏教は迫害されています。日本も中国に侵略されないことを願います。リカールさん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・人は誰でも幸せになりたいと願う。だが、幸せになるには、まず幸福が何なのかを理解する必要がある。ジャン・ジャック・ルソー(p21)
・いい人生とは、自分が専門とすることへの完全なる没頭を特徴とする
ジャンヌ・ナカムラとミハリ・チクセントミハイ(p299)
・アンドレ・コント・スポンヴィルによれば、「賢者というのは、期待も希望もしない。なぜなら、賢者は完全に満たされているので、何も欲求がないのである。何も欲しくないので、完全に幸福なのである」(p73)
・生じた感情を自由に外に出すのが妨害されるのは、時限爆弾を心の隅に置いておくようなもので、当座しのぎの不健康な解決法でしかない。抑圧された感情は、精神的、肉体的に深刻な損傷を与える・・・(p156)
・訪問者は、過去の不運と将来の不安をありったけ並べ立てた。その間、老賢者は沈黙したまま、床に置かれた小さな火鉢の上でジャガイモを焼きながら聞いていた。・・・「もはや存在しないものや、未だ存在しないものを気に病むことに、意味があるだろうか」と質した(p206)
評言社
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【私の評価】★★★☆☆(79点)
目次
第1章 幸福に関する名言
第2章 幸福は人生の目的か
第3章 両面の鏡 内から外から
第4章 見せかけの友
第5章 幸福は可能か
第6章 苦しみの錬金術
第7章 エゴのベール
第8章 自分の考えが一番の敵になるとき
第9章 感情の川
第10章 厄介な感情とその治療法
著者経歴
マチウ・リカール(Matthieu Ricard)・・・1946年フランス生まれ。チベット仏教僧。パストゥール研究所のノーベル医学賞受賞者フランソワ・ジャコブ教授の指導の下、分子生物学の国家博士号を取得後、チベット語を学び、仏教修行の道に入る。チベット仏教の文献を欧米に翻訳・紹介、ダライ・ラマ14世のフランス語通訳も務める。フランスにおいて細胞遺伝子の分野で将来を嘱望された研究者の経歴を放棄し、ヒマラヤ山間で仏教僧として35年間修行に専心。現在は著述家、翻訳家、写真家としても活躍するほか、瞑想の脳に及ぼす効果に関して展開中の科学研究にも参加。チベットとネパールを生活の拠点として人道的プロジェクトに従事
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