「人間ドックが「病気」を生む」渡辺 利夫

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人間ドックが「病気」を生む

【私の評価】★★★☆☆(70点)


■現在70歳の著者は、
 60歳くらいから健康診断をやめました。


 確かに健康診断による
 早期発見・早期治療は延命のために
 効果があるのかもしれません。


 ただ、検診により精神的苦痛が増えるのです。


 「肺に影がありますね」

 と言われて、生検の結果が出るまで、
 不安な気持ちでいること自体が
 不健康ということです。


・がんの早期発見・早期治療が有効だという論拠には、
 かなり怪しいものがあります。というより、
 根拠のないものであることが次第に分かってきました(p65)


■健康診断は本当に効果があるのだろうか。


 肺がん検診、胃がん検診は、
 レントゲンにより確実に被ばくします。


 それに対し、明確なメリットがあるのでしょうか。


 福島の原発事故であれほど放射能を恐れるのに、
 病院での放射能に人はあまりにも
 無関心であるということでしょう。


・厚生労働省という、国民の健康や福祉の司令塔の
 位置にいて、多数の職員と膨大な予算をもつ国家の省庁が、
 立証されてもいない早期発見・早期治療を、
 こうまで明瞭な戦略としてうたっていいものでしょうか(p41)


■国の医療費は、40兆円になろうとしています。


 早期発見・早期治療で医療費は下がるはずですが、
 実際に減ることはありません。


 70、80歳ともなれば、
 だれでも老化という病気を持っています。


 老化という病気を
 早期発見して治療しようという
 考え方にこそ問題がある、
 という著者の考えに賛成です。


 渡辺さん、 
 良い本をありがとうございました。


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■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・現在の大病院は、患者の希望はまったく顧みず、
 医師の思い込みだけを押しつけて、
 これを拒めば入院も許されない・・・
 緩和ケアと在宅療法により、「満足死」と言ってもいいような
 死に方をする老人が、意外にも相当数いる(p85)


・日本の医学・医療のレベルは、もう必要以上に
 発達してしまい、治療不能な少数の難病を別にすれば、
 治る病気のほとんどはもう治すことができるようになっていて、
 残るは、もともと治すことが不可能な病気だけ(p183)


・なぜ私は、医師に、母の痛みを取り除いてほしいと訴え、
 母には、もっと近くに身を寄り添わせてあげられなかったことか。
 母がつらい苦しいと言えば、そうだよね、つらいよね、苦しいよね、
 となぜ二人して嘆き悲しむことができなかったのか。
 末期の肺がんの母に向って、弱音は吐かないでくれ、
 頑張ってくれ、と言ったところで、
 母の方には頑張りようもなかったはずです(p211)


人間ドックが「病気」を生む
渡辺 利夫
光文社
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【私の評価】★★★☆☆(70点)


■目次

第1章 病気とは「気を病む」ことである
第2章 早期発見は不幸を早める
第3章 医療はすでに限界にきている
第4章 不安を遠ざけることは危険である
第5章 人間の幸福は仕事の中にある
第6章 文学から病と死を考える
第7章 死ねるときに死にたい


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