「合理性を超えた先にイノベーションは生まれる」金子 智朗
2013/09/26公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(81点)
要約と感想レビュー
合理的な経営判断を教えているコンサルタントが、合理性を超えた先にこそとてつもない成功がある、と教えてくれる一冊です。世の中は、ハイリスク・ハイリターンですから、ハイリターンを狙えば、リスクはどうしても高くなるのです。
そのようなハイリスクを負えるのは、創業者だけです。例えば、ヤマト運輸は役員全員の反対に遭っても、個人向け宅配ビジネスを始められたのは創業家の小倉昌男だから決断できたのです。日本では経営企画室が新規事業を検討する場合が多いのですが、そもそも経営企画室のような組織あまりないという。欧米企業なら、そうした方針決定はトップの仕事なのです。
ところが日本では、麻薬の常習歴があり、最終学歴は高卒で未婚のまま彼女を妊娠させ、生まれた子どもは認知しないスティーブ・ジョブズのような人物は一流上場企業の社長にはなれないのです。普通の失敗しないだけのサラリーマン社長には、そのようなリスクの高い判断は難しいし、いわんや経営企画室の人に、期待するのは無理というものだというわけです。
・ハイ・リターンにハイ・リスクは付きものだ。中にはそのリスクを承知の上で、それでも一番の成功に賭けたいという経営者もいるだろう・・・経営企画室などの一担当者がこのような意思決定をするのは相当難しい(p65)
しかし、創業者はいずれ去っていきます。サラリーマン組織でいかに成果を出すかという課題に対しては、JALを再生させたアメーバ経営を例として挙げています。細分化された自律的な経営の集合体を作るということです。
ただ、アメーバ経営ではアメーバの独立採算を計算するものの、各人の報酬はアメーバの利益にリンクしていません。 なぜ、アメーバ経営によって、社員が主体的に行動するのかといえば、数字がよくなっていくのが面白いからだという。
ここらへんにイノベーションの答えがあるように感じました。金子さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・グーグルの事業に対する判断基準は、「儲かるか儲からないか」という経済合理性にはない。「技術的に面白いか、ワクワクするか」が判断基準になっている(p182)
・部長止まりの人と役員まで出世する人との違いは、接待してもらった次の日に差が出るとのことだ・・・平社員は90%がメールすらしない。部長でも80%の人がお礼を言わない。しかし役員は100%お礼のメールを送るというのだ(p43)
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【私の評価】★★★★☆(81点)
目次
第1章 成功者は合理性を超える
第2章 合理性を踏まえること、合理性を超えること
第3章 合理性を超えたケース、超えられなかったケース
第4章 合理性をいかに超えるか
著者経歴
金子智朗(かねこ ともあき)・・・コンサルタント、公認会計士、税理士。東京大学工学部卒業、東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。日本航空株式会社、プライスウォーターハウスクーパースコンサルタント等を経て独立。現在、経営コンサルティング、企業研修、講演、執筆を幅広く行っている。
読んでいただきありがとうございました!
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