「利権鉱脈」松村 美香
2013/04/23公開 更新本のソムリエ [PR]
Tweet
【私の評価】★★☆☆☆(61点)
要約と感想レビュー
冒頭、モンゴルでODA事業に取り組む商社マンが凍死します。その死の秘密を、女性開発コンサルタントが探っていく物語となっています。ODAとは政府開発援助のことで、日本は毎年1兆円くらいのODAを実施しているのです。
現在のODA、技術協力は、外務省所管の国際協力機構(JICA)が予算を執行しています。そしてその実行部隊が、開発コンサルタントであり、ODAを狙う商社、ゼネコン等となります。
商社から見れば、日本のODAを使って数百億円のインフラプロジェクトをフィージビリティ・スタディから実施にまで作り上げていくわけです。日本の製造メーカーからすればODAの予算でプロジェクトに製品を納入できれば、海外での実績となるわけですが、最近のODAは、日本の企業に限定しないアンタイドの案件が多くなり、うまみは少なくなってきているらしいのです。
・もともと円借款は日本の貿易振興を目的に含み、輸出ファンドという側面を持っていた・・・OECDにおける会議で、日本は経済協力システムの変更を何度となく受け入れた。日本経済に有利な開発支援はしない、という国際的なルールに則って、円借款をアンタイド化した(p222)
実際の国際援助では、銅やウランなどの利権がつながっていることがあります。途上国になれば、賄賂がなければ進まない案件もある。一方で、ODAは税金なので賄賂がバレると、コンプライアンス違反で村八分にされてしまうリスクがあります。国際援助とは仕事にしてしまうと、怖い世界なのかもしれません。
松村さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・2008年、JICAはJBICのOECF部門を吸収し、日本で唯一、世界一巨大なODA実施機関となった。・・五億円から10億円規模でできる無償援助を扱ってきた連中に、公共事業のあり方や財政発動のなんたるかがわかるはずがない(p82)
・日本における開発コンサルタントの地位は、海外のそれよりもずっと低い。高学歴で現場経験豊富なコンサルタントでも、JICAに雇われれば出入り業者扱いである(p90)
・ODAの不祥事が続く中、途上国の公共事業に関わることはコンプライアンスの危機に直結するという認識に変わってきた。商社やゼネコンは既に「ODAには手を出すな」という姿勢を明確にし、汚職に巻き込まれないための次善策を打ち出している(p11)
・先日発電所に行ったら、日本のコンサル業者の監督下で発電プラントを造った韓国の施工業者の記念碑が大きくババンと建てられていて、近くの住民は誰もダム造りに日本が関わったことを知らなかった(p24)
・アメリカやヨーロッパ諸国の大統領や首相は、恥も外聞もなく我が国の企業をよろしく、と個別の売り込みまでかけてくるが、日本政府は原則主義の石頭で、日本企業を公然と応援することなどしない(p143)
・拾ったネタを自分の信じる論法で展開し、そのストーリーに合わせて必要な裏を取る・・・自分が正しいと妄信できる図々しい独善性がなくては、社会部記者は務まらない(p148)
角川書店(角川グループパブリッシング)
売り上げランキング: 72,421
【私の評価】★★☆☆☆(61点)
目次
プロローグ 「共感」の営業であなたも売れる営業になる!
Part 1 「営業」に対するイメージをアップしよう
Part 2「共感コミュニケーション」のつくり方
Part 3 話し上手よりも「ノリ」が大事
Part 4 自分を守るために「共感の根まわし」をしよう
Part 5 お互いのハッピーのために「ほんの少し自己中」のすすめ
Part 6 リピート、紹介をされる「忘れられない人」になろう
エピローグ 「共感」の営業はお客様も自分も主役
著者経歴
松村美香(まつむら みか)・・・東京生まれ。中央大学卒業後、青年海外協力隊として2年間タイに滞在。帰国後、筑波大学大学院で修士(経営学)を取得、国際開発コンサルタント業務に携わり、カンボジア、インドネシア、モンゴル、エチオピアなどの開発調査に参加。2008年、『ロロ・ジョングランの歌声』(『利権聖域 ロロ・ジョングランの歌声』と改題して角川文庫)で第1回城山三郎経済小説大賞を受賞
この記事が参考になった方は、クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓
人気ブログランキングに投票する
読んでいただきありがとうございました!
メルマガ「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』」 50,000名が読んでいる定番書評メルマガです。購読して読書好きになった人が続出中。 >>バックナンバー |
配信には『まぐまぐ』を使用しております。 |
コメントする