「タテ社会の人間関係」中根 千枝
2013/01/31公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(72点)
要約と感想レビュー
■社会人類学の先生による
日本人の人間関係の分析です。
親分・子分というものがありますが、
日本人は一家を組織したがります。
それが昔は藩であり、一家であり、
現代では企業がその役割を
になっているのでしょう。
・日本の集団意識は非常に場におかれており、インドでは反対に資格(最も象徴的にあらわれているのはカースト-基本的に職業・身分による社会集団(p28)
■そして、この親分子分の関係がからみあい
タテ社会を形成しています。
こうしたタテ社会は、日本独特のもの。
イギリスでは階級が支配し、
インドではカーストの身分、
欧米企業では職能。
つまりヨコ社会とでもいうような
階級という身分で制約された
階層社会なのです。
・東大というものを通過することによって、同列にたちうる・・・労働者の息子はオックスフォードに行っても、下層出身者ということは一生ついてまわる。・・・学閥か階級かという対照がここにみられる(p103)
■どうして日本では、学閥というものが
存在するんだろう・・・
と考えていましたが、少しスッキリしました。
日本も西欧にも良いところがあるし、
悪いところもある。
基本的には、今の社会は、
日本人の特性に会った社会なのでしょうから、
その特性を知ったうえで考えるべきと感じました。
中根さん、
良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・日本の学者の集まりで、純粋に学問的な討論がなかなかできにくい・・・その集まりのなかに、先輩・後輩や師弟関係にある人々がいる場合、意見の発表がどうしても序列に影響される(p87)
・行動の決定は、往々にして、直属幹部の力関係、リーダーとの人間関係に左右されることが非常に多い。そこで、リーダーは自由に幹部を操縦するどころか、彼らにひきずられるのである。・・・リーダーの権限が非常に小さいのである(p141)
・日本の組織というのは、序列を守り、人間関係をうまく保っていれば、能力に応じてどんなにでも羽をのばせるし、なまけようと思えば、どんなにでもなまけることができ、タレントも能なしも同じように養っていける・・ (p153)
・作品自体について論じているのに、ちょっとほめると、「あいつはオレに好感をもっている」ととられ、ちょっとけなすと「あいつはケシカラン奴だ」とくる。作品をとびこえて、人対人の直接の感情的出来事になってしまう(p174)
講談社
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【私の評価】★★★☆☆(72点)
目次
1 序論 日本の社会を新しく解明する「社会構造」の探究
2「場」による集団の特性
3 「タテ」組織による序列の発達
4 「タテ」組織による全体像の構成
5 集団の構造的特色
6 リーダーと集団の関係
7 人と人との関係
著者経歴
中根 千枝(なかね ちえ)・・・1926年、東京生まれ。東京大学文学部東洋史学科卒業。のち、ロンドン大学で社会人類学を専攻。現在、東京大学名誉教授。研究対象は、インド・チベット・日本の社会組織。
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