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「1坪の奇跡―40年以上行列がとぎれない 吉祥寺「小ざさ」味と仕事」稲垣 篤子

2012/11/20公開 更新
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1坪の奇跡―40年以上行列がとぎれない 吉祥寺「小ざさ」味と仕事


【私の評価】★★★★☆(86点)


要約と感想レビュー

 吉祥寺で「ようかん」と「もなか」を作り続けて 60年の稲垣さんの一冊です。毎日、朝から行列ができるという盛況ぶりだとか。小豆を練っていると、小豆が一瞬、「紫」に輝くときがあるという。その「紫」がでたときに、美味しい「ようかん」ができるのです。


 著者はただ、無心になって羊羹を練るという。完璧なものをつくりたいと意気込むわけでもなく、うまくいかなかったから、落ち込むわけでもない。ただ小豆に声をすましながら、練り終わった瞬間に、なんともいえない爽快感があるというのです。


・或る時から、小豆の、紫の一瞬の輝きの声が聞こえてきた(p1)


 「ようかん」は、マニュアルどおりに作れば、同じものができるという簡単なものではありません。そのときの材料や天候が違えば、「ようかん」の味がかわる。そこは職人の「勘」と「経験」で調整するのです。ただ、すべてが「勘」ではなく、良いとき悪いときのデータも取る。


 例えば、「この作業は何分」と決めるのではなく「一番いい状態で作業を終えた」ときに時計を見て、何分何秒だったのかを記録するという。技術を高めるための参考としてデータを使うのです。著者の祖母は「少しずつ少しずつ前に出ていけば、いつか一番いいところに行ける。だから、急がなくていい。ただ、前に出ることだけは忘れずに」と言っていたという。少しずつ改善していくのですね。


 この本は、稲垣さんの商売の歴史であり、父から教わった商売のコツでもあると思いました。父が教えてくれた言葉を今度は稲垣さんが次の世代に伝えていくのです。


 父からは、「私たちは食べていかれればいいんだから」「お客様がいなくても、ただ突っ立っていたら店の空気が澱む。お掃除をしたり、ちょっと品物を直したり、いろいろなことをしていなきゃいけない」などと教えてもらっていたという。あまりに高望みすぎると、何かがおかしくなってしまうのでしょう。


 60年の歴史は、伊達ではありません。良いものを適正な価格で売るだけではなく、接客から取引先の関係まで、稲垣さんの経営の考え方に感動しました。稲垣さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・「問屋は育てるもの」が父の口癖でした。(p35)


・祖母からは「何でもいいから一番になれ」と言い聞かされていました(p85)


・嫌なことを言われることもありますが、それもその方の感じたことなので、「ありがとうございます」と真摯にお聞きすることにしています(p62)



【私の評価】★★★★☆(86点)


目次

プロローグ 40年以上、早朝からできる行列の裏側で
第1章 2品だけの究極の味を求めて
第2章 たった1坪の店で
第3章 私の仕事観を形づくった出来事
第4章 屋台からの「小ざさ」創業
第5章 父から娘へ
第6章 障がいのある子どもたちと共に
第7章 次代に伝える
エピローグ 125歳まで現役で―



著者経歴

 稲垣 篤子(いながき あつこ)・・・東京・吉祥寺にある和菓子店、「小(お)ざさ」社長。1932年、東京都生まれ。1956年、東京写真短期大学(現東京工芸大学)卒。1951年11月19日に吉祥寺で父が「小ざさ」を創業。当時、畳み1畳の屋台の店で、19歳時から1日12時間、365日休みなく、団子を売り始める。1954年、現在の店舗がある吉祥寺・ダイヤ街に移転後、品数を羊羹ともなかの2品(現在、羊羹1本580円、もなか1個54円)に絞る。以来、現在も羊羹を練り続けている。40年以上早朝から行列がとぎれない、1日限定150本の"幻の羊羹"は吉祥寺名物の一つとなっている。たった1坪1店舗の店ながら、年商は3億円超。


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