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「よくわかる慰安婦問題」西岡 力

2012/09/11公開 更新
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よくわかる慰安婦問題


【私の評価】★★★★☆(84点)


要約と感想レビュー

 最近、お騒がせの慰安婦問題について勉強するために読んだ一冊。海外の人と話す場合もあるので、理論武装をしておきたかったのです。慰安婦問題について流れを見てみると、次のとおりです。


1 1980年代、吉田清治が奴隷狩りや慰安婦について証言。(後に、捏造であることを告白)吉田清治は、日本共産党から立候補して落選するという過去を持つ男です。


2 1991年、朝日新聞が、吉田証言および慰安婦の証言を証拠に、慰安婦問題について報道。記事を書いた朝日新聞記者は、奥様が韓国人活動家の植村隆という男。(取材において慰安婦は強制連行と言ってないが、そこはもちろんカット)


3 1992年、中央大学教授の吉見義明が、慰安婦に軍が関与していた資料を見つけたと首相が訪韓前のタイミングで朝日新聞が報道。(その資料は、軍部が強姦などの問題が起きないよう慰安所の設置を提言しているもの。当時、娼婦は合法)


4 報道に対し、加藤紘一官房長官が従軍慰安婦について反省の談話発表。


5 宮沢首相が韓国訪問時に慰安婦問題について謝罪。(実は、外務省は事実関係を調査せずに謝罪していた・・・)


6 いくら調査しても、強制連行の証拠が出てこない。強制連行を認めてほしいと主張する韓国に配慮して石原信雄官房副長官、谷野作太郎外務省アジア局長は、「広義の強制」というどちらにも読める理論を発明。


 1993年、河野内閣官房長官談話が発表される。


7 1996年、すべての中学歴史教科書に従軍慰安婦に関する記述が入る。


8 2007年、米国議会下院で「戦中、日本が女性を性奴隷として強制動員した」として日本の謝罪を求める決議が採択される。


9 2010年、米国ニュージャージー州に「従軍慰安婦の碑」建立。
  2011年、在韓日本大使館前に「従軍慰安婦の碑」を建立
  2012年、米国ニューヨーク州に「従軍慰安婦の碑」建立。


10 2012年、李明博(イ・ミョンバク)大統領が 慰安婦の人道的解決を求めるも 進展がないことを理由に竹島上陸。


 こうして見ると、慰安婦問題とは、反日工作成功の歴史であることがわかります。日本がナチスドイツのように人を組織的に強制連行し、奴隷のように使役し、殺したということを日韓だけでなく世界的に認識させることに成功しつつあるということです。


・本当に軍隊に連行されたと言っているのか・・・ところが金学順さんは、40円でキーセン(妓生(きしょう)。朝鮮半島の芸妓・娼婦を指す)に売られたと語っているではないか。(p29)


 慰安婦について検証していくと、名乗り出た慰安婦は、強制連行されたと言っていません。ビルマの慰安婦は、家が買えるほどの貯金を持っていたのです。調べれば調べるほど、報道されている強制連行された従軍慰安婦とは違うようです。


 あえていえば、軍が規律を維持するために、当時合法だった売春宿の設置を推進した。その売春宿で商売として稼いでいる人がいた。そういう意味では、河野談話もある意味正しいのですが、外国の人は慰安婦=性奴隷というイメージが一人歩きをしています。


・92年3月、名乗り出た元慰安婦、文玉珠さんが訪日し、軍事郵便貯金の払い戻し請求を行った・・・郵便局側が調査したところ・・・残高は2万6145円・・・その頃、5000円あれば東京で家一軒買えた(p89)


 本当の問題は、男性の強制連行、強制労働があったことであり、これを含めて、日本は韓国に賠償しています。しかし、その賠償金は個人の補償に使われず、製鉄所建設や道路建設に使われました。財閥や大きな企業だけが経済的に儲かった。強制連行された人は、韓国政府から無視されたのです。そうした韓国政府の失策を含めて、すべては日本が悪かったことにしたいのでしょう。


・日韓基本条約によって、日本は無償3億ドル、有償2億ドルのいわゆる「請求権資金」を韓国に払った・・・これを国家建設に使う方針が打ち出され・・・個人補償は後回しにされた(p57)


 ハイジャックの要求どおり釈放してしまう日本ですので、政府の対応がいいかんげんなのは仕方がない面もあると思います。慰安婦の碑をどんどん建立するのは、日本と韓国の関係を破壊しようという北朝鮮側の工作活動ともいえるものです。その工作に乗って日韓関係を破壊する必要はありませんが、個人的には韓国製のパソコンを買うことはないと思います。


 西岡さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・朝日新聞は、「主として朝鮮人女性を挺身隊の名で強制連行した」と書くことによって、このとき、吉田(清治)証言のような権力による強制連行があったと主張した(p26)


・私は吉見教授が発見したという「軍の関与」を示す文書を精読してみた・・・戦地で日本軍が強姦事件を起こすと敵の政治宣伝に利用されるので、軍紀を引き締めると同時に慰安所を設置することを提起している文書などだ(p34)


・私はすぐ、「吉見先生、朝鮮半島で権力による強制連行があったと証明できているのですか」と聞いた。すると、「それは証明できていません」と言ったのである(p128)


・国連人権委員会に初めて慰安婦問題が持ち込まれたのは、1992年2月である。実は、持ち込んだのは日本人だった。戸塚悦郎弁護士が2月25日、人権委員会で慰安婦問題を国連で取り上げるように要請したのだ(p156)


・2006年4月、米議会調査局は「日本軍の慰安婦」と題する報告書を出している。・・・なんとその冒頭には、吉田清治の慰安婦狩り証言が引用されている・・・(p177)


▼引用は下記の書籍からです。
よくわかる慰安婦問題
西岡 力
草思社
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【私の評価】★★★★☆(84点)


目次

第1部 慰安婦問題とは何だったのか
第2部 誰が慰安婦問題をつくりあげたのか
第3部 韓国で再び燃え上がった慰安婦「反日」の真相



著者略歴

 西岡 力(にしおか つとむ)・・・1956年、東京生まれ。国際基督教大学卒業。筑波大学大学院地域研究科修了(国際学修士)。韓国・延世大学国際学科留学。1982~84年、外務省専門調査員として在韓日本大使館勤務。1990~2002年、月刊『現代コリア』編集長。東京基督教大学教授。


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この著者の本


コメント(1)

本日の「よくわかる慰安婦問題」・・
モヤモヤした問題をはっきりさせてくれる書籍なので、
まさに、タイムリーな一冊。♪

私自身は政治社会の本は
あまり買わないのですが、今回は買います。
ご紹介ありがとうございます。

私的ですが、海外クライアントと
お仕事する機会があったりする昨今です。

今後、
日本人がグローバルに活躍していくなかで、
モヤモヤした問題に区切りをつけてくれるのは
嬉しい限りです。

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