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「料理の四面体」玉村 豊男

2012/04/07公開 更新
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料理の四面体 (中公文庫)


【私の評価】★★★★☆(83点)


要約と感想レビュー

「アルジェリア風羊肉シチュー」が超おいしそう

世界中を旅行して回った玉村さんが気付いたのは、料理には共通点があるということです。ヨーロッパ生活が長いから、欧州料理の解析がおもしろい。料理を焼き物、煮物、揚げ物に分け、あとは材料の組み合わせで 料理が完成するのだ、・・そんなうんちくはいいのです。


最初にでてくる「アルジェリア風羊肉シチュー」が超おいしそうなのです。また、牛肉の赤ワイン煮、ブフ・ブルギニョンは貧しい農家のカアちゃんが、今夜のおかずはどうすんべえかてえかてえ硬くて硬くて焼いても食えねえ肉サあるだべがどうすっぺ。ほんじゃあまあ煮込んでしまおうかの。とりあえずワインぶっかけてふやかすべか、と著者には感じられるという。


カレーくらいしか料理のできない私でも、ブイヤベースの説明をうけると、作りたくなってきました。にんにくやサフランを突っ込んで、魚貝のエキスをスープでいただく。たまりませんね。


ブイヤベースの美味はひとえにそのスープにあるのであって、魚にあるのでは決してない。・・・その魚の身にはもう味もなにもない。スカスカのだしがら、である(p192)

料理は頭を使う

日本では古くは薪で料理をしていましたが、最近はガスが主流でやっとオール電化が進んできました。しかし、欧米ではオーブンは日常の必需品で、電気が主で、ガスは従であるというのです。西欧料理の多くのものはオーブン、つまり電熱レンジがないとできないというのです。本当なんだろうか。


料理ができる人は、仕事も成功するといわれますが、料理は頭を使うし、工夫が楽しそうです。引退したら考えたいと思います。玉村さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・マグロの刺身を、これはサラダなのだ、と思って眺めると、だんだんサラダに見えてくるから不思議である(p160)


・「牛肉のすっぽん煮」は、悪くはなかったが・・・どこか日本酒と牛肉の風味が合わないのである。ところが、醤油を落としてみると、がらりと味がまとまってくるから不思議だ(p59)


・「板前」・・・"板"というのは、マナ板のことである。・・「いかに切るか」が、日本料理においては、「いかに加熱するか」より重要なものである(p134)


▼引用は、この本からです。
料理の四面体 (中公文庫)
玉村 豊男
中央公論新社
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【私の評価】★★★★☆(83点)


目次

1 料理のレパートリー
2 ローストビーフの原理
3 てんぷらの分類学
4 刺身という名のサラダ
5 スープとお粥の関係
6 料理の構造―または料理の四面体について



著者経歴

玉村豊男(たまむら とよお)・・・1945年、東京生まれ。71年、東京大学仏文科を卒業。在学中にパリ大学言語学研究所留学。通訳、翻訳業を経て、文筆業へ。8年間の軽井沢生活の後、91年から長野県小県郡東部町(現・東御市)在住。絵画制作のほか、西洋野菜やワイン用ブドウの栽培、ワインの譲造をする農園ヴィラデストを営む


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