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「群れない生き方」絹谷 幸二

2011/11/25公開 更新
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群れない生き方


【私の評価】★★★☆☆(76点)


要約と感想レビュー

 芸術の世界は、自分の独自性を発揮する場所だと思っていましたが、実は、日本の画家の世界では、派閥とボスが幅をきかせているらしい。国会議員や、大学教授などとあまり変わらないようです。


・「群れない生き方」を選び、いかなる苦難に対しても立ち向かう気力と根性こそが成功への近道だと、私は確信している(p4)


 著者は、そうした日本の狭い画家の世界を飛び出して、イタリアへの留学で幅を広げました。芸術の世界ですから、やはり自分らしさが大切ということ。しかし、日本のシステムでは、芸術でさえ、自分らしさを出しにくいのです。


・我が国の公募展、団体展においても、若手を育てず押さえ込んで、老人が支配していては、かつて栄えたその団体も今日では残念なほど人材が出ないということになる。(p145)


 立川談志師匠、スティーブ・ジョブズが亡くなりましたが、革新とは変人からしか生まれないのかもしれません。それは、他人にまったく配慮しない、唯我独尊の変わり者だからこそ、革新ができるのです。


・新しい価値の創造者は、常に旧主派といわれる、これまでの価値の上に漫然と座する多くの人々の言われなき抵抗を受ける定めにある。(p110)


 今、日本だからこそ、自分らしさが必要なのかもしれません。突っ走れば「君はやり過ぎだ」と言われる。それでいいじゃないですか。自分の人生ですから、と思わせてくれる一冊でした。絹谷さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・会社に尽くすな!自分に尽くせ!(p11)


・人は人。世間は世間。自分は自分と割切ろう。(p29)


・怒り、嫉妬、不満。こうした感情から生まれるエネルギーは非常に強い。コンプレックスを上手に乗りこなした人こそ、人生の達人だともいえる。(p30)


・他人の「マネ」をすると、あなたの価値は出ない(p49)


・叱られ上手になるには、寄席や漫才を見て、ボケとツッコミの話術やテクニックを参考にするとよい。・・・「バカ」になる方法を学んだ(p118)


・私欲ではなく「意欲」で仕事を進める(p128)


・骨のある物言い、仕事、やる気はたとえそのとき不評を買っても、理解者は必ずいるものだ。(p68)


・チャンスは突然「人」づてにやってくる。・・・人の世界では、すべては人からなのである。(p87)


・人と人をつなげる技を持つ人は、その人のまわりに花が咲く。・・・ただただ笑って接着剤となる(p63)


・読書は宝の泉。食わず嫌いをしない(p164)


・日常の仕事、電話対応などから一時避難する旅は、行く先々で見知らぬ新発見があり、いつのときも旅は心を洗ってくれる。(p161)


・遊びは好きだが、絵以外に熱中することは極力避け続けた。だから、ゴルフに夢中になって、その合間に会社経営をする「経営者」とは一体何者だろうかと不思議でたまらない(p139)


・米国やイタリアなどでは、どうやら日本人のようにお金を備蓄してため込むという習慣がないようだ・・・彼らはため込まず、自分自身の「今」に投資しようとする(p168)


群れない生き方
絹谷 幸二
中経出版
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【私の評価】★★★☆☆(76点)



著者経歴

 絹谷幸二(きぬたに こうじ)・・・東京藝術大学名誉教授 大阪芸術大学教授。日本芸術院会員 独立美術協会会員。1943年、奈良に生まれる。1966年、東京藝術大学美術学部油画科卒業。同年、大橋賞受賞。2年後、東京藝術大学大学院を修了。独立賞を受賞し、独立美術協会会員となる。1971年に単身イタリアへ私費留学し、アカデミア美術学校に入学。イタリア美術界の巨匠、ブルーノ・サエッティ教授のもとで、アフレスコ古典画法および、現代アフレスコ画の研究にとり組む(1977年に、文化庁在外研修員として再び渡伊)。1974年、安井賞を受賞。その後も毎日芸術賞、日本芸術大賞、日本芸術院賞など、日本の代表的な芸術賞を受賞。1993年、東京藝術大学教授に就任。2008年に35歳以下の若手芸術家を顕彰する絹谷幸二賞を毎日新聞社主催にて創設。


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