「いちずに一本道いちずに一ツ事」相田 みつを
2011/02/03公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(91点)
要約と感想レビュー
実は真面目な人
これまで私が読んできた「相田 みつを」さんの本は、毛筆の書だけのものでした。それに対し、本書は「相田 みつを」さん本人の講演会の内容が掲載されており、「あー、こんな人だったんだ」と感嘆してしまいました。
みつをさんには二人の兄がいたのですが、二人は徴兵に取られて戦死しました。母親は二人の死を悲しみ続けていたという。みつをさんも人生の選択に悩んだとき、兄二人の墓でどうすればいいのか質問したというのです。そうすると、損をするかもしれないけれど、後悔のない道を選ぶ決断ができたという。
墨で紙に文字を書く。当時はそれほどの収入になりません。しかし、みつをさんは自分の心に素直に生きると決断したとのです。
正直者はばかをみる・・どちらを選ぶか?それを決めるのは自分です(p73)
実実はうまく書こうと思えば書ける
「相田 みつを」さんの書は、見ただけで素直に引かれますが、こうした素顔の「相田みつを」さんを知ったうえで、書を見てみるのもまた違う感覚になるような気がしました。
毛筆の書は、そんなに上手ではないのですが、実はうまく書こうと思えば書けるのです。わざと下手くそっぽく書いているのは、ピカソに近いのかもしれません。自分の味を出すのが一番難しいのです。だから何回も何回も書き続けるのだというのです。
人間にとっていちばん大事なものは、学歴でも肩書でもお金でもありません。丈夫な身体と健康なこころ、これが最高の宝です(p82)
ものごとは極めると普通にみえる
相田 みつをさんのメンターは、曹洞宗の禅僧の武井哲応(てつおう)です。短歌の会で教えてもらったり、「正法眼蔵隋聞記」を教えてもらい読んでいたという。
だから相田 みつをさんの考え方の底辺には、禅の学びからの言葉が多いのです。相田 みつをさん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・「あんたのお父さんはたいへんいい人でしたよ」という、その一言が、我が子に残す一番いい財産じゃないかと思うんです。(p174)
・自分の持っている権力を笠に着て相手の人格を全面的に抹殺するような叱り方は、一生恨みを残すだけで、なんの効果もありませんね。人間を育てる教育者としては最低だと思います(p46)
・「あってもなくてもいいものは、ないほうがいいんだなー」(武井哲応老師)(p122)
・「お前なあ、男として生まれてきた以上、しかも中学校に我々の働きで行かせてやったんだから、自分の納得する生き方をしてくれよ。世間の見てくれとか、体裁よりも、自分の心の納得する生き方をしてくれよ」(p31)
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【私の評価】★★★★★(91点)
目次
あんちゃんの話
以心伝心
ことばでは...
決めるのは自分
逆縁の菩薩
あんちゃんの戦死
おろかに つたなげに
霧の中を行けば
やっぱり便利のほうがいい
自信はなくてうぬぼればかり
負けることの尊さ
著者経歴
相田みつを(あいだ みつを)・・・書家・詩人。1924年5月20日、栃木県足利市に生まれる。旧制中学の頃から、禅に出会い、その後独特の世界観を書として表現する。1984年『にんげんだもの』、1987年『おかげさん』の出版を機に、作品が広く知られるようになる。1991年12月17日、67歳にて永眠。
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