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「会社は頭から腐る―あなたの会社のよりよい未来のために「再生の修羅場からの提言」」冨山 和彦

2010/11/30公開 更新
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会社は頭から腐る―あなたの会社のよりよい未来のために「再生の修羅場からの提言」


【私の評価】★★★☆☆(78点)


要約と感想レビュー

 産業再生機構で41社を支援した冨山さんの一冊です。産業再生機構といえば、私が印象に残っているのはダイエー、カネボウ、ミサワ、大京などでしょうか。


 冨山さんの産業再生での現場での印象は、企業は社長がすべてである、ということです。産業再生機構に回されてくる会社ですから、非常に問題のある会社なのですが、そのトップが言い訳をする、保身に走ることがあるという。どうしてこんな人がトップになれるのか、逆にこんな人がトップになれる企業風土であったということなのでしょう。


 日本人は挑戦しない、新しいことをやりたがらないとされていますが、著者の分析では、それは日本人特有の問題ではなく、個々の社員の問題でもありません。挑戦すれば報われるインセンティブが、日本企業になかったという組織の問題なのです。


・経営陣の選抜は、まさに戦う司令官を選ぶということである・・・勝たなければならないのだ。司令官は、恐るべき責任を持つことになる。決しておめでたい話などではないのだ。(p130)


 面白いのは、企業再生の現場で何が起きるのか、という話でしょう。例えば、企業再生で現場に入ると、検討スタッフから「マンパワーが足りない」という話が出るという。そのような場合、多くのケースでは逆に思い切って人を減らしたほうが業務遂行能力も意思決定のスピードも向上するというのです。


 こうした現場の話を聞きつつ、「真剣勝負で負けを経験した人をトップに任命せよ」という言葉に感じ入りました。逆に言えば、日本では勝負で負けた人は出世レースから外れるのです。やはり、企業は人。トップ人事こそ企業の命運を決めるのでしょう。


 冨山さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・その会社が何のためにあるのか、が忘れられたとき、悲劇は起こる(p167)


PDCAを回すというのは一見簡単に見えるかもしれないが、人間の本性と違うものを要求されているのだ。基本的に人間は弱いもので、見たい現実しか見たくない生き物なのである・・・計画がうまくいっているかなど、冷徹に見るのは、とても辛い作業である。(p50)


・日本は、ルールがあまりに未整備である。典型的なのが、有価証券報告書等の虚偽記載に関してだ。なぜ、これほど罰則が軽いのか。(p153)



【私の評価】★★★☆☆(78点)


目次

第1章 人はインセンティブと性格の奴隷である―経営と人間
第2章 戦略は仮説でありPDCAの道具である―経営と戦略
第3章 組織の強みが衰退の要因にもなる―会社の腐り方
第4章 産業再生の修羅場からの臨床報告―現場のカルテ
第5章 ガバナンス構造を徹底的に見直せ―予防医学その1
第6章 今こそガチンコで本物のリーダーを鍛え上げろ―予防医学その2



著者経歴

 冨山和彦(とやま かずひこ)・・・経営共創基盤(IGPI)代表取締役CEO。東京大学法学部卒、スタンフォード大学経営学修士(MBA)。ボストンコンサルティンググループ、コーポレイトディレクション代表取締役社長、産業再生機構COOを経て、IGPIを設立。数多くの企業変革や業界再編に携わり、現在に至る


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