「パリでメシを食う。」川内 有緒
2010/10/22公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(75点)
要約と感想レビュー
パリの星付きレストランでの食事を紹介する本かと思ったら、パリで生活している人を紹介する本でした。レストランで働く人、マンガ喫茶を作ってしまった人、サーカスで活躍する人、カメラマンとなった人・・・。さまざまな人生があるんですね。
フランス以外でもそうでしょうが、外国で仕事をするということは、非常に厳しいことだと思います。その国にしてみれば、自分は外国人だし、言葉は通じにくいし、文化も違います。そこでプロとして給料をもらって生活していくのは、どうみても大変なことでしょう。
・パリで仕事を見つけるのは、フランス人にとっても楽ではなく、日本人にとってはその何十倍も難しい。外国人が労働許可を取得するためには、本人ではなく雇用主の根気がためされる。高い失業率の中で「なぜあえて外国人を採るのか」ということを説明しなければならない(p157)
そもそもフランスでの失業率は高く、その中で日本人を雇ってもらうのは本人の能力も大切ですが、そうした日本人を雇おうという雇用者の努力も必要となるのです。それだけ求められる人材とならなければ、雇用されることはないのです。
この本で紹介されている日本人は変わった人が多いな、という印象でしたが、とりあえずメシを食うにはプロにならないといけないようです。海外に飛び出してみる覚悟のある方はどうぞ。川内さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・プロって何?」「それは・・・制約とかやりたくないこととかあるけど、その中で自分のやりたいことをやれることがプロ。いかなる条件でも一番いいものを残せるようになったらプロなんじゃない?」(p196)
・日本では責任を取るというのは、「結婚する」とか「養育費を出す」とかいう意味だが、フランスでは結婚は二の次。話し合った末、二人は結婚せずに、交代で子育てをすることに決めた。(p90)
・そもそもオートクチュール産業自体が、風前の灯とも言われているのだ。プレタポルテ(既製服)が市場を席巻し、パリコレさえも段々とプレタポルテがメインに取って代わった。(p143)
・合ってるかどうかなんて、関係ないんじゃないいすか?何でも続けてみないとわからないじゃないですか(p175)
【私の評価】★★★☆☆(75点)
目次
16区―厨房の熱気をもう一度 三つ星レストランを目指した料理人
1区―ハッピーエンドはこれから "不法占拠"アトリエで自由になったアーティスト
5区―愛のある街角を写したい 路上のドラマを切り取るカメラマン
1&11区―自分の城が欲しかった 先手必勝、オペラ座に漫画喫茶を開いた起業家
8区―小道で見つけたオートクチュール工房 手仕事に情熱を燃やす女性テーラー
11区―バスティーユ広場の終わらない夜 ファッションの最先端で「一瞬」に生きるスタイリスト
18区―フランス・サーカス界に起こった旋風 孤高のヨーヨー・アーティスト
7区―手のひらには仕事が残った 恋に仕事に突っ走る国連職員
17区―モンマルトルのふもとからフランス全土へ 三度海を渡った鍼灸師
7&16区―いつも花のある風景を 家族とアフリカと哲学を愛する花屋
著者経歴
川内有緒(かわうち ありお)・・・1972年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒業後、ジョージタウン大学にて修士号を取得。コンサルティング会社やシンクタンクに勤務し、その合間に少数民族や辺境の地を訪ね、旅の記録を雑誌に発表。2004年に渡仏し、国際機関に勤務した後、フリーランスに
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