「予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」」ダン・アリエリー
2010/03/07公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(79点)
要約と感想レビュー
人間の不思議な特性を、さまざまな実験を通して証明してくれる一冊です。たとえば、新車を買うときには30万円のカーナビをあっさり付けるのに、30万円のベッドはなかなか買えないという人間の特性です。
商売では、松竹梅といった具合に、メニューや商品をそろえるのが原則です。人はどうしても「竹」を選んでしまうのです。やはり、人の感覚は不合理であり、前の価格を前提に考える動物(アンカリング)であるということなのでしょう。
・わたしたちは新製品をある価格で買うと、その価格にアンカリングされる。(p53)
私が特に気になったのは、お金をもらうよりも、ボランティアのほうが一生懸命やってしまうという人間の特性です。実は、このメルマガも無料だから続けられるのであって、有料でやるなら月50万円くらいは稼げないとやらないでしょう。
この本がなんで全米ベストセラーなのかわかりませんが、実験で検証された結果を興味深く読めると思います。良い本を翻訳ありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・なぜ楽しみでやっていたことが、報酬をもらったとたん楽しくなくなるのか(p104)
・最高の成績を収めたのは、私が締め切りを設定した学生たち―私が「親」のように命令した学生たちだ。
・消毒液のなかで包帯をはずすような処置をするときは、強い力で短い時間でするより、もっと弱い力で長い時間をかけてするほうが痛みが少ないことが研究でわかった(p16)
早川書房
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【私の評価】★★★☆☆(79点)
目次
相対性の真相
需要と供給の誤謬
ゼロコストのコスト
社会規範のコスト
無料のクッキーの力
性的興奮の影響
先延ばしの問題と自制心
高価な所有意識
扉をあけておく
予測の効果
価格の力
不信の力
私たちの品性について その1
私たちの品性について その2
ビールと無料のランチ
著者経歴
ダン・アリエリー (Dan Ariely)・・・行動経済学研究の第一人者。デューク大学教授、MITのメディアラボの客員教授。テルアビブ大学で心理学を学んだ後、ノースカロライナ大学チャペルヒル校で認知心理学の修士号と博士号、デューク大学で経営学の博士号を取得。その後、MITのスローン経営大学院とメディアラボの教授を兼務した。この間、カリフォルニア大学バークレー校、プリンストン高等研究所などにも籍を置いている。人間がどのように決断をするのか、特になぜ不合理な決断をおこなうのかについて、メジャーな論文誌だけでなく、ニューヨーク・タイムズ、ウォールストリート・ジャーナル、ワシントン・ポストなどでも研究が紹介されている。その研究のユニークさは、2008年度にイグノーベル賞を受賞。
読んでいただきありがとうございました!
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