「イノベーションのジレンマ」クレイトン・クリステンセン
2010/01/10公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★☆☆☆(68点)
要約と感想レビュー
優秀な企業は革新できない
この本でいう「イノベーションのジレンマ」とは、優秀な企業は、優秀であるがゆえに、革新的な事業を立ち上げることができない、というものです。たとえば、GMは大型車で効率的に稼いでいたがゆえに、省エネのハイブリッド車を作ることは難しかった。つまり、大型車での成功を基準とすると、ハイブリッド車の市場はあまりに小さく、かつ、利幅が少ないとみなされていたからです。
では、このジレンマを避ける方法はあるのでしょうか。この本で提唱するのは、革新的な技術製品については、別会社で開発するというものです。または、別会社を買収してもよいでしょう。そうすることで、既存の事業部からの制約や妨害を避けることができるのです。そういえば、ドコモもNTTから独立した会社だったからうまくいったのかしら、などと思いました。だれも携帯電話がこんなになるなんて、思っていなかったはず。革新的技術は、革新的であるがゆえに、それを正しく評価できる人は、ほとんどいないのです。
・独立組織のスピンアウトによって破壊的技術を追求すると、結局、もう一方の事業部門をつぶす可能性がある(p166)
別会社または買収によって革新する
それ以外に、他社を買収することによって革新的な製品を作り出す方法もあります。例えば、ジョンソン&ジョンソンは、使い捨てコンタクトレンズ、内視鏡手術、糖尿病患者用血糖値測定器について買収によって破壊的技術革新を達成しています。
別会社にしろ買収にしろ、成功している優秀な企業は、革新的技術開発に適さないということです。これは努力や人材によってコントロールすることが難しい法則なのでしょう。
・盛田は「小型ラジオをつくります」と答えた。相手は「小さいラジオなど、だれが買うのだ」と言った。「いまにわかります」と盛田は答えた。(p258)
電気自動車は革新なのか
電気自動車が見えてきた今、次の革新的技術は何だろうか、と考えてしまいました。トヨタはハイブリッドシステムを開発し、いつでも電気自動車に参入できる状況を作り出しています。ただ、電気自動車にすべてを集中することはできない点では、ジレンマがあるのは確かなのでしょう。
革新的な仕事は、順調な会社からは生まれにくいとわかりました。それだけ覚えておきましょう。本の評価は、★2つとしました。
この本で私が共感した名言
・持続的技術に関しては、従来の技術の性能を高めることに重点を置き、新しい技術は遅れて採用する企業のほうが、力強い競争力を維持できる場合があることが実証されている。しかし、破壊的技術ではそのようなことはない。(p194)
・最初から一か八かの賭けに全資源をつぎ込んだり、組織の威信を賭けてはならない。二回目、三回目の挑戦のために資源を残しておく必要がある。(p279)
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【私の評価】★★☆☆☆(68点)
目次
第一部 優良企業が失敗する理由
第一章 なぜ優良企業が失敗するのか
第二章 バリュー・ネットワークとイノベーションへの刺激
第三章 掘削機業界における破壊的イノベーション
第四章 登れるが、降りられない
第二部 破壊的イノベーションへの対応
第五章 破壊的技術それを求める顧客を持つ組織に任せる
第六章 組織の規模を市場の規模に合わせる
第七章 新しい成長市場を見出す
第八章 組織のできること、できないことを評価する方法
第九章 供給される性能、市場の需要、製品のライフサイクル
第十章 破壊的イノベーションのマネジメント-事例研究-
第十一章 イノベーションのジレンマ-まとめ-
著者経歴
クレイトン・クリステンセン(Clayton M. Christensen)・・・ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)教授。主な研究・指導分野は、技術イノベーションのマネジメントと新技術のための新市場の開拓。HBS教授陣に加わる以前、MITの教授らとCPSコーポレーションを設立し、会長兼社長として経営に携わる。またレーガン政権でホワイトハウス・フェローを務めたほか、ボストン・コンサルティング・グループでの勤務経験を持つ。1997年刊の『イノベーションのジレンマ』でグローバル・ビジネス・ブック賞をはじめ、数々の学術賞を授賞。世界のリーディング・カンパニーの経営陣に対するコンサルティングを行っている。ブリガムヤング大学より経済学士号、ローズ奨学生として学んだオックスフォード大学より経済修士号(MPhil)、ハーバード・ビジネス・スクールより経営学修士号(MBA)および経営学博士号(DBA)を取得している
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