「地銀・信金 ダブル消滅」津田倫男
2018/12/09公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★☆☆☆(68点)
要約と感想レビュー
銀行の世界は、どうなっているのでしょうか。預金量と営業力、不良債権の有無、営業エリアなどが関係するようです。これだけたくさんの銀行がありますので、低金利が続くと再編もありえるのでしょう。
2018年の本ですが、2024年の時点で予想が当たってるかどうか、チェックしてみます。
「みずほFG」は当時10年で約1万9千人の人員削減を行うと発表していたので、いずれ「リテール」(一般個人向け取引)をやめる、と著者は予想しています。ところが、2024年時点では、「みずほFG」は楽天証券への追加出資などリテールをやめる気配はありません。
りそなHGは、当時、中間持ち株会社の「関西みらいFG」をつくり、三井住友からみなと銀を含む2行を実質買収して「兵庫」に基盤を得ました。著者は各地で同じように地銀を買収すると予想していますが、実際、2024年にりそなHDと、岐阜県の十六フFGが、リテール分野での業務提携を締結しています。半分正解といえるでしょう。
また、青森、岩手、秋田の地銀3行の統合を予想していますが、実際には、青森銀行とみちのく銀行が統合、秋田銀行と岩手銀行は2022年に包括業務提携を締結して、半分正解というところでしょうか。
銀行業界については、まったくの分野外ですのでもう少し勉強していきたいと思います。津田さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・顧客のニーズお構いなしに、必要があると思えない生命保険や投資信託を売りつける・・銀行や信金の支店長がやってきても、「悩みを聞きに来る」のではなく「ノルマを果たしにやってくる」(p21)
・『利ザヤの縮小』で困った地銀は『運用の益出し』を無理に行い、貸す先にも困って『アパマンローン』に走り、信用力が弱いところに対して『貸しはがし』を行った。そして、根拠のない『将来はよくなる』という見通しのもとに『何もしていない』(p58)
・投資ファンドなどによる出資を除くと、本格的な国際型統合と呼べる事例は1つしかない。中國信託商業銀行(本店・台北市)による東京スター銀行の買収だ(p143)
・資本関係を結ぶ場合に、資本を「両持(も血合」することが、国際的に業務展開をする銀行にとって、どうして不利になるのかを説明しておこう。いったん「国際統一基準行」と国際的に認定される(日本の場合は金融庁がそう内外に宣言する)と、出資している持ち分については「バーゼルⅢ」では「リスク・アセット」(単純に訳せば、危険な資産)と見なされ、自己資本から引かれてしまうのだ(p149)
・東北地方には青森県の「青い森信金」と宮城県の「杜の都信金」以外に、4千億円以上の預金量を持つ信金は存在しない・・「仙台市とその周辺」は金融市場としては魅力的だ。したがって、ここに本拠を置く幾つかの信金を、「宮城県以外の主に東北の地銀」が傘下に収めようとする動きがあるかもしれない(p153)
・「むつFG」=みちのく銀+北日本銀・・は、東北で最も早く実現しそうな気がする。「地勢」(隣県)、「数字」(ともに県内2番手)、「心理」(先述の北海道の2行への対抗心)から説明しやすい(p189)
朝日新聞出版 (2018-06-13)
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【私の評価】★★☆☆☆(68点)
目次
はじめに 地域金融機関が「ゆでガエル」にならないために
第1章 追いつめられる地域金融機関
第2章 金融庁vs.公取
第3章 地方銀行、再編の基本形
第4章 信用金庫も動き急―「260」が「60~70」に
第5章 「新型再編」なら、こうなる
第6章 地域金融機関の未来予想図
終わりに 銀行がいらなくなる日
著者経歴
津田倫男(つだ みちお)・・・企業アドバイザー。1957年、松江市生まれ。一橋大学、スタンフォード大学ビジネススクール卒業(MBA取得)。都市銀行、外資系銀行、ベンチャーキャピタルなどに22年間勤務後に独立。M&A、新規事業開発、海外進出など企業への総合助言業務を行っている。著書多数。雄多圭佑という筆名での電子本もある
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