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「産廃コネクション―産廃Gメンが告発!不法投棄ビジネスの真相」石渡 正佳

2009/08/24公開 更新
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【私の評価】★★★★★(92点)


要約と感想レビュー

■仕事で産業廃棄物の処理について
 深く勉強するために
 産廃関係の本を8冊ほど購入。


 今日届いた5冊を一気に読んでみましたが、
 この本が一番でした。


 表面的な事務や法律を解説した本とは全く異なり、
 産廃業界におけるそれぞれの業者のポジション、
 儲けるコツ、不正をしてしまう理由まで
 裏の裏まで教えてくれるのです。


■著者によると、2002年の時点で、
 最終処分された5000万トンと同じくらいの
 4000万トンが不法処分されたと
 推定されるそうです。


 もし、不法処分がなくなれば、 
 最終処分場はとうの昔に満杯になって
 しまっているはず、というのです。


 では、どうして不法処分が
 行われるのでしょうか。


・マニュフェストなしの産廃もマニュフェストありの産廃と混合され、マニュフェストありの産廃として保積(積替保管場)を出ていく。(p88)


■それは最終処分場が少ないという
 物理的な理由と、
 不法処分することにより簡単に儲かるという
 金銭的な理由があるようです。


 産廃を目一杯受け入れて、
 結局オーバーフローしてしまい、
 仕方がなく不法投棄をすると、
 簡単に儲かってしまう。


 これでは、不法投棄はなくならないのです。


・中間処理施設は、取引先にマニュフェストを回付するため、最終処分場との契約がどうしても必要だ。オーバーフローした産廃を不法投棄現場に流出させているからこそ、辻褄を合わせるため、一定量の産廃は正規の最終処分場に処分しておかなければならない(p162)


■産廃Gメン(公務員)がここまで書けるとは
 驚きました。


 具体的なマニュアルとしては、
 「不法投棄はこうしてなくす」石渡 正佳
 が具体的でわかりやすいものとなっています。
 仕事で使う方は、セットで購入するべきです。


 ちょっと古い本ですので、
 今の状況が反映されていない可能性を割り引いても、
 ★5つとしました。


この本で私が共感した名言

・産廃の処理を委託するとき、収運は収運業者に、処理は処理業者に、それぞれ個別に契約を締結し、処理費も個別に支払うのが原則とされている。しかし、実態は大いに異なっており、収運業者が処理まで一括して受託することが通例となっている・・・安い処分先を探せば、処理費のピンハネが可能になる。(p91)


・中間処理施設は、産廃の減量化やリサイクルを担う産廃処理の主役で、そこが不法投棄の主犯だといったら、産廃処理システム自体を否定することになってしまう。表向き、中間処理業者が主犯だとは言えない事情がある(p106)


・産廃を燃やして灰にすると、重量は10分の1以下になるが、燃やさなければできなかった有害物質が発生してしまう。効率的な最終処分のための減量化は、産廃を無害化するどころか、有害化してしまうのだ(p180)


・我が国の行政のずるい点は、システムを作るときには、学者を集めて一生懸命にあれこれと議論するが、一度システムができてしまうと、問題が生じてもシステムそれ自体の欠陥は決して認めようとせず、業界に責任転嫁し、自ら責任を取らないという体質にある(p213)


▼引用は、この本からです。


【私の評価】★★★★★(92点)



著者経歴

 石渡 正佳(いしわた まさよし)・・・1958年生まれ。1981年千葉県入庁。1996年から千葉県環境部産業廃棄物課で、産廃行政を担当。2001年から監視班のリーダーとして短期間に不法投棄ゼロを達成。


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