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「産廃ビジネスの経営学」石渡 正佳

2009/11/01公開 更新
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【私の評価】★★★★☆(83点)


要約と感想レビュー

■千葉県の産廃Gメンとして不法投棄を
 数多く摘発してきた著者の一冊です。


 不法投棄の手口だけでなく、
 産業廃棄物行政、不法投棄がなくならない
 仕組みを教えてくれます。


■産業廃棄物の不法投棄は、
 禁酒時代の密造、鎖国時代の密輸と同じです。


 つまり、制度の問題が、違法行為として
 表面化しているわけです。


 逆にいえば、違法行為があるからこそ、
 現状の問題が表面化していないのです。


・毎日100万トン、年間4億トン発生するとされる産業廃棄物は、正規の処理施設が足りないからといって、工場内に積み上げておくわけにはいかない。・・・オーバーフロー分を無許可業者に横流しする闇の構造があったから、施設不足は表面化しなかった(p14)


■そうした相関関係から、
 多量に発生する産業廃棄物に対して、
 最終処分場が足りなければ、
 不法投棄の値段は上がります。


 一方、最終処分場と不法投棄場が増えれば、
 値段は下がるのです。


・銚子市の現場で捕まえたダンプ運転手に、いくらで産廃を棄てているのかと試しに聞いてみた・・・「2万5000円に決まってんじゃんか。どこの棄て場だって同じだよ」と、バカにしたように答えた(p10)


■日本は廃棄物・リサイクルの体系ができているように
 見えますが、実際には不法投棄、高コストなど
 課題は多いようです。


 リサイクル法が整備されたことから、
 リサイクル偽装も増えているようです。


・リサイクル施設を偽装・・・廃プラスチックを再生資源原料として1トン500円で買い入れ、別途運搬費を1万円請求するのである。・・・会計書類検査を実施しなければ、偽装行為を立証することはできない(p80)


■役人ながら本質を見据える著者の眼力に
 驚きました。


 本の評価としては★4つとします。


この本で私が共感した名言

・安定型最終処分場の場合、穴を掘って廃棄物を埋めているだけであり、不法投棄現場とほとんど同じ場合もあるのに、10倍も価格が違うのだからぼろ儲けしているのは、不法投棄現場ではなく最終処分場(p13)


・建設汚泥の最終処分場では、天日で乾いてしまった汚泥は土砂と見分けがつかないので、残土処分場に移動しても問題となることがまずなく、移動が常套的に行われていた(p71)


・中間処理残渣の偽装というのは、処理を受注した廃棄物の中から、売れそうなプラスチックか紙くずをほんの数枚抜き取ったことにすれば、残りの廃棄物はなんらの処理もしていないのに選別残渣とみなされるという法解釈を悪用して、最終処分業の許可のない自社処分場に埋め立ててしまう行為である。


・子会社・・・廃棄物を子会社に再生品(有価物)として偽装売却して廃棄物処理法の適用を切断し、行政の立入検査を受けない子会社が残土処分場などの無許可施設に横流ししてしまうというのが、よくある手口だった(p185)



【私の評価】★★★★☆(83点)



著者経歴

 石渡 正佳(いしわた まさよし)・・・1958年生まれ。1981年千葉県入庁。1996年から千葉県環境部産業廃棄物課で、産廃行政を担当。2001年から監視班のリーダーとして短期間に不法投棄ゼロを達成。


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