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「国を作るという仕事」西水 美恵子

2009/07/12公開 更新
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国をつくるという仕事

【私の評価】★★★★☆(87点)


■世界銀行の副総裁まで勤めた
 西水さんの一冊です。


 西水さんの秘密兵器は、
 ホームステイです。


 その国の貧困層の家にホームステイすることにより、
 その国の社会インフラの状況、役人の汚職などを
 庶民の生の情報を集めるのです。


  ・貧困解消への道は、「何をすべきか」ではなく、
   「すべきことをどう捉えるか」に始まる(p8)


■西水さんは、初めての調査で、エジプトの貧困街を訪問し、
 病気の子どもを抱き上げました。


 彼女は羽毛のように軽かった。
 そして、腕の中でその子は息を引き取ったのです。


 彼女の病気は、下痢からくる脱水症状。
 きれいな水さえあれば、彼女は死なずにすんだのです。


 彼女のなかでなにかが弾け、
 「貧困こそ敵、その国の国民がお客様」という
 西水さんの信念の原点となったのです。


■日本ではありえないくらいの、
 途上国の汚職に驚きます。


 給食が出ない、電柱を立てるのに賄賂が必要、
 年金目当てに教職を買う

(日本でも似たような事件がありましたが・・・)

 賄賂は社会の潤滑油という人もいますが
 ここまでひどい汚職では
 実際の生活に悪影響があるはずです。


■世界銀行にこれだけ現場主義の人が
 いるのに驚きました。


 やはり現地現物は強力です。


 発展途上国の現実と、世界銀行の雰囲気が
 伝わってくる学ぶべき点の多い一冊でした。
 本の評価としては★4つとします。


─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


  ・ただひとつ世界銀行で学んだのは、
   リーダーの善し悪しが決定的な差を生むという
   政治の現実だった。(p285)


  ・年金目当てに教職を賄賂で買う・・・
   教科書配布には賄賂が要る、と
   子供たちから教わった。
   某国文部省役人らの給食詐欺(p40)


  ・電柱一本につき礼金五百ドル。
   この村にそんな大金はない」。
   無理な金を都合してせっかく引いたとしても、
   賄賂は続くという。
   集金人が・・・袖の下の交渉(p234)


▼引用は、この本からです。 
国をつくるという仕事
西水 美恵子
英治出版
売り上げランキング: 1909
おすすめ度の平均: 5.0
5 かっこいいです
5 マスメディアでは分からないこと
4 現場の人、行動の人
3 現実世界の複雑さを説明する内容を期待していた。。
5 日本の政治家に読んでもらいたい。

【私の評価】★★★★☆(87点)



■著者経歴・・・西水 美恵子(にしみず みえこ)

 米国ガルチャー大学にて経済学を学ぶ。
 1970年トーマス・J・ワトソン財団フェロー。
 1975年ジョンズ・ホブキンス大学大学院博士課程修了。
 1980年世界銀行入行。
 1992年同行、国際復興開発銀行 局長。
 1997年同行、副総裁。
 2003年世界銀行退職。 
 現在、米国ワシントンと英国領バージン諸島に在留。
 2007年よりシンクタンク・ソフィアバンクのパートナー。


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