「編集者という病い」見城 徹
2008/12/04公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(91点)
要約と感想レビュー
死ぬ気で作家と付き合う
私の書評ブログ内を「幻冬舎」で検索してみました。検索結果を見てみると幻冬舎の本は、迫力があり、中身の濃いものが多い。すごいことだと思います。本書は、角川書店を飛び出し、幻冬舎を作り上げた見城さんの自叙伝になっています。
当時は角川書店とは仕事をしないという作家がいっぱいいたという。著者はその人たちを落として仕事をしようと考えたのです。では、どうやって尾崎豊、石原慎太郎、坂本龍一、松任谷由美、村上龍のようなきら星のような作家と人間関係を作ることができたのか?それは、見城さんが「死ぬ気」で作家と付き合っていたからです。
・書き手に死ぬ気でお願いするっていう以外には僕らの仕事は進行しない(p227)
あらゆる努力をする
著者が部下に言っているのは「お前の人生の重さの中でものを言わない限りは、書き手に対して説得力がないし、書き手はおまえに何かをやってやろうとは思わないよ」といことだという。大物と仕事をしたい。好きな人と仕事をしたい。その思いをぶつけていく。だから本気であらゆる努力ができるし、しなくてはならないのです。
だから、毎日手紙を書いたり、作家の著作をすべて読んだりするのは当たり前なのです。そうした編集者の迫力を感じ、作家も幻冬舎の編集者の迫力に、全力で書かなくてはならないという気になるのでしょう。
・大家といわれる人たちには、あらゆる手段を使って・・・手紙を毎日書いてみたり・・・近づいていく。もちろん、その人の作品が好きじゃないとそこまでできない。好きであればどんな努力でもできる。(p147)
劣等感から挑戦してきた
見城さんは、小さいころいじめられていたそうです。"タコ"というあだ名で馬鹿にされた。そうした劣等感に対して、自分の価値を証明するために、挑戦してきたように感じました。
60歳を前に、俺の人生はなんだったのかと、本書をまとめられたのでしょうが、すごい本を作ってきたという実績は、微動だにしません。★5つとしました。
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この本で私が共感した名言
・これは面白いと思った連中に肩入れするわけですよね。こんな面白い芝居が知られていないのが悔しい。俺が世に広めたいと思い始める。そのために、あらゆる協力を惜しまなかった。そうやって・・・どんどん有名になっていくわけです。(p184)
・小さなことにくよくよするな!なんてウソだ。小さなことにくよくよせずに、大きなことをプロデュースでいるわけがない。(p196)
・そもそも利益構造、流通制度が、後発の出版社には利益が少ないようにできているんだから、新しい出版社が育っていくのは難しい・・・大手の出版社なら取次に千円の本を720円で卸せるわけ。ところが、新参の出版社は620円でしか卸せない(p239)
▼引用は、この本からです。
【私の評価】★★★★★(91点)
目次
序章 悲惨の港を目指して-暗闇のなかでの跳躍
第1章 SOUL OF AUTHOR
第2章 SOUL OF EDITOR
第3章 SOUL OF PUBLISHER
オンリー・イエスタディ あとがきに代えて
著者経歴
見城徹(けんじょう とおる)・・・1950年12月29日、静岡県清水市(現・静岡市清水区)生まれ。静岡県立清水南高校を卒業し、慶應義塾大学法学部に進学。廣済堂出版に入社。初めて自身で企画した『公文式算数の秘密』が38万部のベストセラーとなる。1975年、角川書店に入社。「野性時代」副編集長を経て、「月刊カドカワ」編集長に。5本の直木賞作品を始め数々のヒット作を生み出し、41歳にして取締役編集部長に昇進。1993年、角川書店を退社し幻冬舎を設立。設立後、五木寛之『大河の一滴』、石原慎太郎『弟』、唐沢寿明『ふたり』、郷ひろみ『ダディ』など23年間で22冊ものミリオンセラーを世に送り出す
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