「「法令遵守」が日本を滅ぼす」郷原 伸郎
2007/10/20公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★☆☆☆(69点)
要約と感想レビュー
検察出身の著者が見た日本の法律とは、どのようなものなのでしょうか。まず、著者が取り上げるのは、( 談合 )の取り締まりです。確かに談合は時代に合わないものです。
けれども、談合にも良い面があったから行われてきたのであり、公共事業の発注の仕組みを残したままで談合だけを悪者にしても、安く良い公共事業が行われるとは限らないのです。マスコミの報道は、「談合は独禁法違反だから駄目だ」という単純なものばかりで、独禁法が本当に適正なのか、という議論にはならないのです。
また、ライブドア事件、村上ファンド事件、耐震強度偽装事件などについても法律に違反したかどうかが問題となっているだけで、適性な決算、建物の安全性確保など事件の本質が報道されていない実体があるようです。
法律が実体に合わなくなっているにもかかわらず、今もマスコミは法律さえ守っていれば良い、違法は悪、といった報道が行われています。その背景には、官庁が自分の責任を回避するために、記者クラブを通してマスコミをコントロールしている実態もあるようです。
・記者クラブの存在は、官庁などが公表する情報を、各マスコミが誤りなく報道することに役立っています。しかし、その反面、報道姿勢が取材対象である官庁や団体の意向に左右されがちです。捜査当局を例にあげれば、所属記者が批判的な報道をした場合には、有形無形の不利益を受けることも珍しくありません。(p119)
検察官から見ても、現行の法律には問題が多いことがわかりました。法律遵守だけでなく、本来の法律の目的を達成する法律となることを祈って、★2つとします。
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この本で私が共感した名言
・三菱自動車の2回目のリコール隠し事件が発覚し、まさにメディア・スクラムによるバッシングが吹き荒れていたとき・・・ある記者が、「車の発火事故があったら警察に電話をして、『三菱ですか』と聞いて、他の会社だったら電話を切ります」と言っていました。(p122)
・株券の印刷が間に合わず、売り手が株券の受け渡しができないことを見越して、百対一の株式分割を繰り返したのが今話題の企業である。(p59)
▼引用は、この本からです。
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【私の評価】★★☆☆☆(69点)
目次
第1章 日本は法治国家か
第2章 「法令遵守」が企業をダメにする
第3章 官とマスコミが弊害を助長する
第4章 日本の法律は象徴に過ぎない
第5章 「フルセット・コンプライアンス」という考え方
終章 眼を持つ組織になる
著者経歴
郷原 伸郎(ごうはら のぶお)・・・1955(昭和30)年島根県生まれ。東京大学理学部卒。東京地検特捜部、長崎地検次席検事などを経て、2005年から桐蔭横浜大学法科大学院教授、同大学コンプライアンス研究センター長。警察大学校専門講師、防衛施設庁や国土交通省の公正入札調査会議委員なども務める
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