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「老兵は死なず―野中広務全回顧録」野中 広務

2007/09/14公開 更新
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老兵は死なず―野中広務全回顧録 (文春文庫)


【私の評価】★★☆☆☆(68点)


要約と感想レビュー

 安倍晋三首相退陣でゆれる政界ですが、今日は、2003年に引退した野中 広務の回顧録をご紹介します。


 この本を読むと公共投資重視の政策には同意できませんが、政治家の考え方、見方がよくわかる一冊だと思います。


・大蔵官僚は確かに優秀だが、まず第一に財政の健全化を考える。「まずは財政再建」が彼らの口ぐせだ。・・・経済が疲弊し、中小企業の倒産が相次ぎ、自殺者が続出しても、それでも彼らは財政再建という主張を変えようとしない(p36)


 特に、官房長官として支えた小渕恵三氏については、意外な素顔を知ることができるとともに、加藤紘一、田中真紀子、青木幹雄など、現役政治家についての野中氏の論評を見ると、はっきりいって浪花節的なものを感じました。


・「だめだっ。小渕恵三、あの激しい福田、中曽根の谷間で対抗してきて、政治家を目指して三十何年。ここで下がるんなら政治家をやめるっ。下がらないっ。」と言い切ったのだ。その激しい気迫に、私たちは息をのんだ。(p64)


 こうした人たちが政治家として永田町に集まり、役人と一緒に国を動かしているというのを知ると、ちょっとしたパワーバランスで、国の方針というものは変わってしまうのだなと感じました。


 政治の実際をちょっとだけ垣間見れる一冊ということで、★2つとしました。


この本で私が共感した名言

・文部省は、「日の丸」「君が代」を教育現場に定着させることが、勤務評定につながるのだと管理職に圧力をかける。とくに広島は、被爆都市として戦後出発し、教職員組合への部落解放同盟の影響が強いことから、「日の丸」「君が代」をめぐっては 厳しい対立があった。(p117)


・勇ましいことを言うのはたやすい。しかし、東京に核が打ち込まれる覚悟でそうした発言がなされているか、もういちど吟味してほしい。(p325)


・毎朝三十回の腹筋と朝晩の金槌を使った足裏たたきで、体にどこも悪いところはない。・・・気力と体力が充実している今だからこそ、あえて、現役を退く意味があるのだと考えた。(p11)


▼引用は、この本からです。
老兵は死なず―野中広務全回顧録 (文春文庫)
野中 広務
文藝春秋
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【私の評価】★★☆☆☆(68点)


目次

苦悩する沖縄
経済失速
小渕政権誕生
金融危機と自自公連立
仕事師内閣
小渕首相倒れる
我らが屍を越えて行け!
加藤の乱
二番目の男
小泉政権の本質
9.11とテロ特措法
スキャンダル国会
北朝鮮よ!
石原慎太郎と亀井静香
最後の闘い
政治家の条件
非情の政治に終わりを



著者経歴

 野中 広務(のなか ひろむ)・・・1925年生まれ。51年園部町議に当選。園部町長、京都府議、副知事を歴任し、83年衆議院議員に初当選。98年、小渕政権の官房長官、2000年森政権下で自民党幹事長。2003年議員を引退。


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