「警察裏物語」北芝 健
2007/01/15公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(81点)
要約と感想レビュー
最近、テレビ番組に出演されている元刑事、北芝 健さんの著作です。元警視庁刑事だけあって、実際の警察組織の裏側を暴露していて、ここまで出して大丈夫?と思ってしまう内容です。
まず、警察官の不満はというと、勤務時間の長さです。犯罪は24時間休むことを知りませんので、犯罪を追いかける警察は、24時間対応が求められています。
・アメリカの警察官の勤務状況は八時間勤務の三交代制・・・ところが日本の警察は、ひどいところは三日に一回の徹夜勤務に加え、さらに「非番勤務」と称して徹夜労働が入る。(p157)
次が、給料の少なさです。給料が少ないうえに、捜査で使った費用が経費として認められない(現在は月1万円の枠がある)状況で、よく仕事をしているものだと感心してしまいます。
・今では月一万円の捜査用報償費が認められているが、私の現役時代は、というか、数年前まで捜査費は経費として一切認められていなかった。(p105)
そのような過酷な労働環境で、日夜、治安維持のために苦労している警察の敵は、犯罪者だけではありません。書類送検しても、検察が起訴しなければ検挙率はどんどん下がってしまうことになります。
・検察官たちがもっとも嫌うことは、なによりも法廷で黒星をつけられることだ。・・・検察官が取り扱おうとしない事件は膨大な数にのぼっている・・・「検察官が犯罪を減じ滅する流れを遅らせている部分もある」といってもいい過ぎではない。(p221)
かなりHな内容も多かったのですが、笑える一冊となっています。日夜、日本の治安を守っている警察官の睡眠不足と薄給が改善されることを祈って、★4つとしました。
この本で私が共感した名言
・警察の中にも(創価)学会員がいることは資料的に判明しているが、それを公言するのははばかられている。捜査活動に圧力がかけられるのも実は学会がらみの事件がことのほか多い、とは現場の最前線捜査員よりも上層部に位置するものたちの言だ。(p93)
・キャリア警察官の中でも出世するやつが必ず経験するポストがある。それが「捜査ニ課長」だ。捜査二課というのは知能犯や選挙違反捜査を担当するところで、このポストを努めるということは、政治家の急所を握ることになる(p151)
・取り調べを進めていくと、新聞社の社員たちが居直り始め、ある中年社員が居丈高になり、刑事課長に噛み付き始めた。「われわれにこんな扱いをして、タダでは済まないぞ。・・・」もし、この賭博に巨大メディアの社員がいなければ、まちがいなく「賭博現行犯」で立件されたはずだ(p232)
・暴力団抗争事件や大物政治家が絡んだ疑獄事件では、・・・口封じとして殺されてしまったとしか思えないようなことがしょっちゅう起きている(p224)
【私の評価】★★★★☆(81点)
目次
第1章 伝統の警察官
第2章 素顔の警察官
第3章 北芝健の強盗事件捜査セレクション
第4章 警察アンダーワールド
第5章 これが殺人事件の捜査だ!
第6章 警察内部の知られざる抗争
第7章 戦う警察
著者経歴
北芝 健(きたしば けん)・・・元警視庁刑事。刑事警察や公安警察に所属していた。現在は犯罪学者として日本社会病理研究所主任研究員。空手6段。修道館館長。
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