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「なにわ商人1500年の知恵」藤本 義一

2006/11/17公開 更新
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なにわ商人1500年の知恵 (講談社プラスアルファ文庫)


【私の評価】★★★★☆(83点)


要約と感想レビュー

大阪といえば商人の町です。住友、三井、鴻池などの多くの優れた企業が生まれています。私のなにわ商人の印象は、お上に頼らない、自分の力で這い上がる地力を持った企業という印象があります。


例えば、クイダオレ人形の発案者は"くいだおれ"の初代社長で、口癖というかモットーは、種牛となるとも牛肉となることなかれだという。自分のアイデアで勝負し、勝ち残った企業・商家が多く、そこには味のある家訓、名言、モットーが残っているのです。


読んでいて不思議だったのは、お金を儲ける方法はあまり書いてないということです。儲けるのではなく、お金を減らさない知恵が、発達しているように感じました。例えば、三井八郎右衛門は、江戸で商売をはじめる前に、大阪の心斎橋筋で現金掛値なしの商売をやっており、前もって小規模ながら試みて、十分に成功率を確かめてから挑戦しているのです。


また、「いつまでもあると思うな親と金。ないと思うな運と災難」という箴言や、「儲けるための鉄則は、絶対に損をしないことである」など本質的な言葉が多いのです。なにわ商人の知恵は、お金とどう付き合っていくかということがポイントで、ユダヤの知恵に似ているところがあるように感じました。


・金銀こそ世渡りの親なのだ。・・・金、金、金と亡者になれといっているのではない。むしろ、金があれば心が豊かになって、この夢まぼろしの世の中を楽しく渡っていけるといっているのである。(p203)


なにわの歴史、そして知恵と名言が満載の一冊でしたので、★4つとしました。


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この本で私が共感した名言

・主(経営者)の目から見て、出世出来ない人間(出世させてはいけない人間)の見方は、次のようになる。・・・
 一、なにかというと"苦労"とか"苦労した"という言葉を吐く人間。
 ニ、給与面に対して不満を漏らす人間。
 三、すぐに疲労した意味の言葉を吐く人間
 四、愚痴を口にする人間。・・・(p230)


・自分史・・・人生に残っているのが、"食欲"と"性欲"だというのは悲しいではないかと思ってしまう。(p314)


・"-人間、終着駅はないと思いますよ。いつも夢を追って生きていたいなら・・・"(手塚治虫)(p327)


・人間、死ぬまで勉強だっせ。勉強を一日でも怠ってはいけまへんで。そやけど、如何にも勉強しているというのが、身内にでも、他人の目にも見えたら、それは嘘だす。誰にもわからんところで一人で勉強するのが大切ですのや。(六代目笑福亭松鶴師匠)(p328)


▼引用は、この本からです。


【私の評価】★★★★☆(83点)


目次

二枚舌ではない。二枚腰なのだ
第1章 なにわ商人の年季
第2章 貯めるのは金、使うのは銭
第3章 ボチボチでんな
第4章 男の一分がすたる
第5章 窓際・脱サラ・単身赴任
第6章 定年後をどう生きるか
おわりに 人生への提言



著者経歴

藤本 義一(ふじもと ぎいち)・・・1933年生まれ。作家。在学中からラジオドラマの脚本を書き、1957年「つばくろの歌」で文部大臣賞受賞。テレビ番組「11PM」で大阪側司会者を務める。1974年、「鬼の詩」で直木賞を受賞。著書多数。


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