「大野耐一 工人たちの武士道」若山 滋
2005/11/22公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(86点)
●仕事をしていく上で、何といっても大切なことは、
会社全体を見るということだと思います。
大きな会社では、関係会社まで
含める必要があるでしょう。
・大野はこの作業標準手順を、自分で決めるのではなく、
組長や工長など現場の人間につくらせた・・・
<問題は、部分的に効率を上げることじゃない。
全体が流れるようにしなければ>
それが大野の信念である。(p141)
●いかに優れた人であっても、
自分の持ち場だけの効率を考えていては、
会社全体の効率を落としかねません。
しかし、実際には、私のサラリーマン生活の経験からも
そのような部分効率を優先する事例は
多いのではないでしょうか。
●トヨタでは昔から、その工程に問題があれば、
ラインをすぐに止めて、その場で問題を解決する
という方針をとっていたようです。
しかし、業界ではラインを止めるなど
とんでもないというのが常識だったのです。
・「どんなにラインが止まっても、
どんなに効率が落ちてもいい。
問題があったら、その場で対処しろ」
それが大野のやり方だった(p176)
・「それぞれの工程で完全に作れば、
製品検査など必要ないのだ」
それが大野の信念であり、
思想であった。(p178)
●つまり、これは、ラインを止めないことで、
見かけ上の効率を維持しようとするものですが、
全体で見ると、後で製品のやり直しが発生して、
全体効率は落ちることになるのでしょう。
ついに生産台数世界一となったトヨタの生産方式は
一日にしてならず、ということがわかる良書です。
★4つとしました。
■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・生き残るには少しでも
安くていいものをつくって売れるように
しなければいかんのだ(大野)(p131)
・大野はどんなにレア・ケースであっても、
必ずその原因を突き止め、改善するよう指導した。
問題を追及するために
「『なぜ』を五回繰り返せ」
と教えている(p187)
・工場の床にチョークで円を描き、
「一日観ていれば、何が問題か分かるはずだ」
といって、組長や工長をそこに立たせた。
時によっては、相手がわかるまで
自分も立ちつづけたというから、
かえって厳しい。(p211)
日本経済新聞社 (2005/10)
【私の評価】★★★★☆(86点)
●著者経歴・・・若山 滋
1947年生まれ。大学院卒業後、建築事務所を経て、助教授。
現在、名古屋工業大学大学院教授。
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