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「好き嫌いで人事」松井 道夫

2005/09/19公開 更新
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好き嫌いで人事

【私の評価】★★★☆☆(77点)

要約と感想レビュー

39歳になると昇進が止まる

日本の会社のおかしいところをバッサリ切ってしまうところが面白い一冊です。そうした思い切りが松井証券をインターネット証券として躍進させた原動力なのでしょう。例えば、退職金というそれまでの長年の働きの果実を得られる仕組みは、できるだけ会社に長くいたいといつまでもしがみつく原因であるとしています。顧問、名誉顧問、最高顧問、相談役、名誉相談役などという役職が存在するのも役員手当が安いのが原因なのでしょう。


松井証券では39歳になると昇進が止まります。つまり40歳以上は、プロの経営者となるか、プロの専門職とならなければならないのです。こういう仕組みだと、従業員は勉強するのでしょう。なぜ、そのような仕組みを考えるかといえば、著者は従業員にプロになってほしい。そして、どこでも通用する人間になってほしいという願いがあるように感じました。


・役職定年である39歳に達したら、その後はどうすればいいのか。役員になればよい。経営者の一員になればよいのである。あるいは専門職となってある分野のプロに徹底的になればよいのである。(p164)


風通しのよい組織

著者が目指すのは、会社にしがみつかなければやっていけないようなサラリーマンを開放し、自分のために仕事をして、自分が納得できなければいつでも辞めてやるというような自由で経済的に自立している人を作りたいということです。


大企業病とは官僚のように社員の意識が、会社の外にではなく内に向かっている組織です。そうした組織をなくしたいので、毒舌でありながら、仕事への厳しさが伝わってくるのです。著者は日本郵船で部長の発言に対して、現場の担当者が「部長。違いますよ、もっと勉強してください」などと、平気で言う風通しのよい組織を経験したという。そうした組織を作りたかったのです。


・「この仕事は私ひとりで十分処理可能です。上司をクビにしてください」という下克上は、ロンドン・ニューヨークなど国際金融市場の金融機関では日常的な出来事と聞き及ぶ。(p30)


日本のやり方とは違ったアプローチの人事政策を行う松井証券ですが、これが良いのか、悪いのか。それは今後の業績が示してくれるでしょう。厳しさを忘れたサラリーマンに活を入れる一冊ということで★3つとしました。


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この本で私が共感した名言

・あらゆる仕事はプロジェクトとして設定可能なのである。プロジェクトとして設定できないものは大抵、いわゆる定型業務というものであり、定型業務はさっさとアウトソースか機械化してしまえばよいのだ。(p75)


・能力が未知数の25歳と、経験の豊かな45歳のどちらを選ぶかという決断を迫られたら、私は25歳の人を選ぶ。なぜか。それは、若い人のほうが、しがらみから自由だからだ。(p142)


好き嫌いで人事


【私の評価】★★★☆☆(77点)


目次

第1章 組織論―「個の時代」に対応できる仕組みとは?
第2章 人材論―「個の時代」に対応できる資質とは?
第3章 採用・教育論―「商人」として自立して働くという意味
第4章 評価論―成果や能力を「客観的」に測れるわけがない
第5章 分配論―「働いて、もらう」というメンタリティに応える
第6章 リーダー論―社長業など株主から委託された職務に過ぎない



著者経歴

松井 道夫(まつい みちお)・・・1953年生まれ。大学卒業後、日本郵船に入社。義父の経営する松井証券に移り、95年社長に就任。外交セールス廃止。株式委託手数料の大幅引き下げ、インターネット株式取引を拡大させる。


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