「コーチング―言葉と信念の魔術」落合博満
2004/12/24公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(86点)
要約と感想レビュー
落合選手というと、マイペースで調整するお気楽な人、というイメージを持っていましたが、それは間違いでした。一流の考えを持つ人でした。落合さんの考えるコーチとは、見ているだけでいいというのです。この「見てあげること」の大切さを第一に挙げているのは、一流の証拠だと思います。
また、選手の意見や自主性を尊重することも重要でしょう。落合さんは、最初にひとりずつすべての人に「言いたいことは全部言ってください」と言って、聞き役にまわっていたというのです。指導するときも、命令するのではなく、「ここが素晴らしいね。それなら、ここも同じようにしてみたらどうだ。」という言い方をしていたという。
・やり方はたくさんある。その中で本人に合ったやり方を見つけさせるのが、最も親切な上司の接し方だろう。(p34)
また選手の評価については、人間を部分的に見て評価してはいけない。いくつかの欠点があっても、最終的にそれらが補われていればいいとしています。このように人としての総合力を見なければならないという考え方は、松下幸之助にも通じるレベルの高い考え方だと思います。
このように一流の考え方を持つ人が、「オレ流」という言われ方をする日本の社会を残念に思いますが、それも事実として理解し、対応する必要があるのでしょう。言い方にも工夫が必要なのです。落合選手本人がマイペース調整についてマスコミに書かれ、球団ともめたこともあり、すべて完璧な人間はいないということでしょう。
中日の優勝はマグレではない、そう断言できる一冊でした。
この本で私が共感した名言
・自分の道を切り開いていくためには、苦しんだり、悩んだりすることも必要だ。苦しんで、苦しみ抜いて、そこでようやく答えが出て、明るい兆しが見えてくれば、それが自分の財産になる。(p214)
・「勉強しろ。早く寝ろ。風呂に入ったか。歯を磨いたか」と、子どもの頃は親から言われ、頭にきていたはずなのに、いざ自分が親になると、同じことを繰り返して言っている(p81)
・食べることと寝ることがしっかりできなければ、いい仕事などできるわけがない。(p157)
【私の評価】★★★★☆(86点)
目次
第1章 教えるのではなく、学ばせる―押しつけない。ヒントを与える。「自分で育つ」ためのコーチング
第2章 指導者とは何か―成果主義時代の今まさに必要とされる、真のコーチ像
第3章 選手(部下)をダメにする選手言葉の悪送球―上司失格。若き才能や可能性の芽をつむ禁句集
第4章 組織の中で、「自分」を生かす術―三冠王はこうして生まれた。結果を出し、自身を高める方法
第5章 勝ち続けるために、自分自身を鍛えろ!―仕事のプロとしての自覚と自信を手に入れるための「思考」
著者経歴
落合博満(おちあい ひろみつ)・・・野球評論家、元・プロ野球選手。昭和54年ドラフト3位でロッテ入団。56年打率.326で首位打者になり、以後58年まで3年連続首位打者。57年史上最年少28歳で三冠王を獲得、60年には打率.367、52本塁打、146打点という驚異的な成績で2度目の三冠王とパ・リーグの最優秀選手(MVP)に輝いた。61年には史上初の3度目、2年連続の三冠王を獲得。通算成績は2236試合、7627打数2371安打、510本塁打、1564打点、65盗塁、打率.311
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